緊急特番「『広く異国のことを知らぬ男』の登場人物にインタビューしてみた!」

すみこうぴ

美穂とミョンファ

 ぱーぱ、ぱぱらっぱー!


 こんにちは、はじめまして。

 「すみこうぴ」です。

 どうぞ宜しくお願いします。


 今日は、拙作『広く異国ことくにのことを知らぬ男』の中から二人の美少女にインタビューをさせて貰います。


 このお話は、バブル景気の絶頂期を折り返した1991年のアジアが舞台です。主人公の北野憲太は、京都の大学を卒業したのですが就職の内定を全て断り、とある思いから旅に出ました。最終目的地は、直線距離でおよそ8千キロ離れた中東の国・イラクです。

 大阪の南港から一人船に乗り、孤独な旅に出るはずだったんですが、行く先々でいろんな人に出会います。


 その中からお二人、インタビューを受けて頂くことになりました。どういう内容になるのか、お話の筋からいくとちょっと恐い面もありますので内心ドキドキしてます。


 インタビューの進行は、ジャーナリストで評論家、しかも私と同郷で高校の先輩の俵元総一朗さんにお願いしてます。


 時空を越えた北京に中継が繋がっていますので、早速呼びたいと思います。


 俵元さん……。俵元さん! あれ?


 ぱーぱ、ぱぱらっぱー!

俵元「……。はい、こちらは1991年の北京です。今日はお二人の女性に来て頂いてます。えー、今日は朝まで行きません。時間もないので、早速自己紹介を……。はい! 高宮さん」


美穂「ええっ、私からですかぁ。うんん。こんにちは、高宮美穂と言います。22歳です。のりさん(主人公)の友人と言うか、ええと……彼女ですぅ」

明華「ええ、彼女ぉー」

俵元「はい、そこまだ喋らない」

明華「すいません」

俵元「続けて」

美穂「あ、はい。今年、大学を卒業して、今は高校の英語教師をしてます。憲さんとは、1年ぐらい付き合ってます。それで、憲さんが中国に行くって言うから、途中まで付いていきました。まぁ、そんなところです」

俵元「はい、次。パクさん」

明華「朴明華ミョンファです。よろしくお願いします。私は北京在住の朝鮮族です。15歳です。お兄ちゃんのお店に偶然やってきた憲太シィェンタイ(主人公)がロック歌手に似ていたんで格好いいなと思ってたら、いつの間にかデートする様になって、仲良くなりました」

美穂「ええっ! デートぉー。そんなん聞いてないよー」

俵元「ああ、そこ。高宮さん、勝手に喋らない。いいですか、今から質問しますからそれに答えて下さい。話はそれからね」

美穂「はい」

明華「分かりました」


俵元「それじゃ、最初の質問。えー『海と山、どちらが好きですか?』。なんだ、この質問。まぁいいか。じゃー理由も一緒に答えて。はい、高宮さん」

美穂「はい、私はー山が好きです。理由はー、憲さんが山が好きだからです。それと……」

俵元「はい、それじゃ……。うん、まだ何かある?」

美穂「はい、それと憲さんと山に登った事があるからです」

俵元「次、朴さん。どうぞ」

明華「私は、山が好きです。おじいちゃんの家に住んでた時に磨盘山ムォバンシャンと言う山に連れて行って貰いました。そこから見た吉林ジーリンの街が印象に残ってます。仏教のお寺もあって、綺麗でした」


俵元「はい、それじゃー次の質問。『今欲しいモノはありますか?』。なるほど、どうでもいい。はい、高宮さん。理由も」

美穂「今欲しいものですか。うーんと……」

俵元「答えて」

美穂「えっ、はい。陸上競技のスパイクが欲しいです。高校で陸上競技部の顧問をしてるので……」

俵元「はい。次、朴さん」

明華「わ、私は、資格が欲しいです。幼稚園の先生になりたいからです」


俵元「分かりましたー。では次の質問。『趣味や特技はありますか?』。高宮さんから」

美穂「私は特技も趣味も、もちろん英語です。料理やお掃除も得意です。週に1回は、まだ帰ってこない憲さんの下宿の掃除に行ってますよ」

俵元「余計な事は差し控えて。次、どうぞ。朴さん」

明華「私も英語は得意です。中国語も朝鮮語も。日本語も少し話せるよ。だって、シィェンタイに教えて貰いました。料理はお店でおじさんに習ってます」

美穂「ええ何よそれ! ホントに英語、喋れるの?」

明華「話せますよ。フンッ。シィェンタイとは英語で話してたもん」


俵元「えーっ、次の質問に行きます。『どんな願いも一つだけ叶うとしたら、何を願いますか?』。私は本が売れると嬉しいね……。今度は、朴さんから」

明華「はい。お兄ちゃんにも勧められたんだけど、日本に行きたいです。そして、シィェンタイと结婚ジェフン(結婚)したいです!」

美穂「ええっ、ちょっと待ってよ。憲さんのお嫁さんは……私が……なりいたい」

明華「そんな話し、シィェンタイとしたの?」

美穂「それはまだだけど……。私は憲さんとキスしたのよ」

明華「ほんとぉ? 私もしたわよ。たくさんたくさんしてるし」

美穂「何言ってるのよ。あなたまだ子どもでしょ」

明華「私はもう大人よ。胸だって、ほら。あなたより大きいでしょ」


俵元「ゴホン! 次の質問行きます。『好きな動物を3つあげて下さい』。それにその特徴を3つずつ上げて。はい、朴さんから」

明華「1つ目は、小さい大熊猫ダーシィォンマオ(ジャイアントパンダ)です。大きくてコロコロしててシィェンタイみたいで可愛い」

俵元「2つ目は?」

明華「えーと、小熊猫シァォシィォンマオ(レッサーパンダ)ね。小さくてすばしっこい。キョロキョロした目が好きなのね。3つ目は、シェ(サソリ)だよ。素揚げで食べると美味しいの。エビみたいな味が好き。シィェンタイと一緒に食べたわ」

美穂「何してるの……憲さん」

俵元「それじゃ、高宮さんは」

美穂「私は、茶色い熊です。大きくてのっそのっそと歩くところが好き。くりくりの目も可愛いよねー。憲さんと付き合い始めた頃に、茶色い熊のぬいぐるみをプレゼントして貰いました」

明華「私は、大熊猫のぬいぐるみを貰ったのよ。小憲太シャォシィェンタイって名前なの。うふっ」

俵元「はい、2つ目」

美穂「もう、ムカつくはね。2つ目は、白いプードル。犬です。お利口さんで人懐っこく、おとなしくでいいです。昔飼ってましたけど、死んでしまいました」

俵元「3つ目」

美穂「えーっと、やっぱり大きいゴリラかな。動きやしぐさが憲さんに似てるし。頭を掻く姿は可愛いねー」

明華「ああ、私も見たわよ。北京ベイジン动物园ドンウーユェン(北京動物園)で。シィェンタイゴリラ」

美穂「あっそうー」


俵元「次、行きます。『今後やってみたいことはありますか?』」

美穂・明華「結婚です!」


俵元「そうですか……。『お悩み相談です。友達の恋人を好きになってしまいました。どうしたらいいですか?』。はい、朴さん」

明華「わかりません」

俵元「あなたの友達の彼氏が憲太くんだとしたら」

明華「私が好きなんだから、なんとしてでも奪います」

俵元「なるほど、そしたら高宮さんは」

美穂「そうですね。私の魅力でこっちを向かせます。憲さんはきっと私を選んでくれるはずです」


俵元「いや、そう言うことじゃないんだけどね。まぁいいか。『大喜利です。あなたの家に手紙が届きました。そこには意外なことが書かれていました。果たしてその内容とは?』。はい答えられる人」

美穂「はい!」

俵元「それじゃー高宮さん。大体想像つくけど」

美穂「憲さんからの手紙です。直ぐにパキスタンに来て欲しいと書かれてました。彼は病気にかかり重症です。私に助けて欲しいそうです。そして治ったら一緒に旅をしたいそうです」

俵元「はい、次」

明華「はい! シィェンタイからの手紙です。日本に帰ったシィェンタイは、就職をしました。お金も溜まったので、北京に迎えに行くと書いてます。そして私と……結婚して欲しいと……。きゃぁっ!」

美穂「そんなことはないわよー」

明華「ふんっ」


俵元「はい、次のお題、行くよ。『あなたが恋人にしたいと思う異性の条件を5つ挙げてください』。もう、どうでもいい……」

明華、美穂「はい! はい!」

俵元「じゃー朴さん」

明華「格好いい、優しい、大きい、面白い、それとシィェンタイ!」

俵元「はい、5つ目。それ条件じゃないよね。違うよね」

明華「えっ、えっ。駄目でっすか?」

俵元「まあーいいや。次」

美穂「はい。優しい、大きい、格好いい、一緒にいてて落ち着く、旅が好きな人です」

俵元「ああ、大体想像つくね。もっと違う答えあるでしょう、高宮さん」

美穂「憲さん……ですか」


俵元「……、時間が無いので次行きます。『過去の世界と未来の世界、行けるとしたらどちらに行きたいですか?』。何考えてんだディレクターは……。まあいいや。理由と何をしたいのかも答えて」

明華「はい」

俵元「朴さん」

明華「えーっと、過去です。私のおじいちゃんは昔、日本の軍隊で働いてました。それで日本に行って貰って、そこでお父さんを生んで貰って、私も日本で生まれるの。そしたら日本でシィェンタイに会えるでしょ」

俵元「ちょっと待って! いま朴さんイイ事言った! それ来月『朝まで』でやるから、お爺さんに来てもらって」

明華「おじいちゃんは病気で入院してます」

俵元「ああ、それは残念だね」

美穂「はい!」

俵元「高宮さん」

美穂「過去です。憲さんが就職の内定を断る前に止めます。旅も行かせません。外国で他の女の子に手を出すなんて、許せへんわ。それに、就職したら結婚しよと思てたのに……もう」


俵元「ああ、なるほどね。あと2つ。『目の前に超巨大なお城があるとします。その城の窓の数はいくつでしょうか?』って何考えてるんだ、くだらん。答えられる人」

明華「いーーぱいあります。1000個ぐらい。そのお城からシィェンタイといっしょに眺めるの。毎日違った窓から違った風景を見るの。いいでしょう」

美穂「私は、おーきな窓が一つです。憲さんとベッドに入りながら、その窓から夜に星を眺めるの。そして、二人で……。その後は言えません」


俵元「いいねー若いって。はい、これ最後ね。『明日巨大隕石が空から降ってきて、世界が滅びるとします。さて、何をしますか?』。これはあるかも知れないからね」

明華、美穂「はい!」

俵元「それじゃー、高宮さん行こか」

美穂「はい、美味しいものを食べたいです。お腹が破裂するぐらい」

俵元「そこ、もう少し具体的に」

美穂「ええと、まず生クリームたっぷりの苺ショート。それから、ステーキもいいわね。カナダで食べたステーキの味が忘れられません。それと、『ラーメン黒部』のラーメンね。憲さんがバイトしてて、食べに行ったらめっちゃ美味しかったのよ。あのラーメンは死ぬまでにもう一回食べたいわ」

明華「私は……」

俵元「あなたの意見はCMの後で。ハイ、いったんCM」


 CMが終わり……中継再開です。


俵元「それじゃー朴さん」

明華「はい。世界が滅亡する前には……、中国には無いから聞いた事しかないけど、黒い耳のネズミがいる遊園地に行ってみたい。夢の国らしいのよ。そこのスイーツも美味しいらしいのよねー」

美穂「ああっ、私も行きたい。カルフォルニアにある方がいい。そこは凄いのよ」

明華「へーそうなんだ。私も行ってみたい」

俵元「地球最後の日は、食べることと遊ぶこと」

明華「そうね」

美穂「だって女の子の楽しみはねー」

俵元「さっきまで言ってた憲太くんの事はどうでもいいんだ」

明華「最後の日はねー」

美穂「そうだよねー」


俵元「はぁ……、質問は以上です。なんだかまとまったようなので、最後にこのインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ。じゃー高宮さん」


美穂「私は憲さんに日本から上海までついて行きました。上海では、美味しい料理を食べられたり、素敵なチャイナドレスを買ったりと楽しかったよ。その後憲さんとの別れは寂しかったけど、憲さんは優しくしてくれました。良かったらお話の方を読んで下さい」

俵元「朴さん」


明華「はい、私は北京でシィェンタイと一週間一緒に過ごしました。優しくて面白くて、毎日楽しかったわ。シィェンタイに買って貰った白いワンピースを来て行った朝陽公園チャオヤンゴンユェンのデートは今も忘れないわ。もし良ければお話『広く異国ことくにのことを知らぬ男』の北京の章を読んでね」

美穂「ええっ、何したのよ?」

明華「それは、お話を読んでのお楽しみよ」

美穂「ホントにもうー」

俵元「はいはい、中継は以上で終わり!」


 zzz……。あっ、すいません、寝てました。

 お、お疲れさんでした。俵元さん、ありがとうございました。お二人も気を付けてお帰り下さい。


 お話はアジア8ヶ国を旅する物語です。この他にもまだまだ美少女が登場します。それだけのお話ではありませんが……。と言うことで、少しでも興味を持って頂いた方は『広く異国ことくにのことを知らぬ男』を読んでやって下さい。


それでは、緊急特番「『広く異国ことくにのことを知らぬ男』の登場人物にインタビューしてみた!」を終わります。

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