定石に甘んじない設定が◎

【設定】☆
怪獣の出現を生業の一部に組み込んでいる人物を主人公にすることで、「怪獣が台風や地震などと同列の世界」を読者の頭にすんなり馴染ませることに成功していると思う。主人公の皮肉な境遇も物語の要素として◎。

【展開】
量的に少し物足りない。最後に主人公は行動を起こすけど、それを加味しても本作では「主人公がどういう奴か」しか描かれてない感がある。彼がこの先どうなるのかをもう少し読みたかった。

【表現】☆
細かいところまで配慮された丁寧な文章。「爺ちゃん」を地の文で「男性」と言う書き方がミスじゃないことが分かった時は、作者の周到さにハッとした。ドライな文体も主人公のキャラにマッチしてて、読むほど入り込んでいける。最後の一文が印象的。

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