呪術と巨大ロボット。
それはある意味相性が良く、そして難しい。
ロボットという人を超えた力を様式美をもって支配する流れが
魔術に似ていると仰った方がいますが。
それを成しえる為にはしっかりとした考察が必要で気軽に
纏められるものではない。
けれど本作はそれを成しえている。特にep6「見えざる純黒」
ここでロボット物としてのエンジュの魅力が開花するのだ。
それまで積み重ねた現代伝奇と特殊部隊を掛け合わせた
流れの枝葉にロボという華が咲くのだ。
そして、物語は結末に至った。そこにあるのは大筋としては
多くの人が想像した可能性の一つ。けれど呪というテーマをもって
描かれたこの終わり、あるいは始まりは最後まで読み終わった読者の
胸にしっかりと刻まれると思うのです。
まず初めに、よくここまでSFロボットと呪術を上手く融合させたなぁと思います。
今作における『呪操槐兵』というロボットが何故人型しているのか、それは呪い人形を拡大解釈させた物だからとか。ロボットによくある武装が呪術道具に因んでいて、それでいて違和感を感じさせないとか。こういった設定を書くなんて本当に凄いとしか言いようがないです……。
そして人に見えないロボット戦というのもユニークで、人目に晒されながら戦う物とは一味違った緊迫感が感じられる。これもまた単なる設定だけに留まらず、今作における重要なキーパーソンになっているのもまた見事。
褒めているだけになってしまってますが、もうそれが言えません! 本編の内容はぜひとも読んで確かめて!