これは、いかに他者の幸せを考え、大切に想えるのか、という物語だ。

 タグの通り、これは「男×男」という関係性が描かれている。その一方で、やはりタグの通り、「BLで括らないでほしい」のだ。何故なら、これは現代社会が抱えるジェンダーの問題であり、性的マイノリティの問題であり、人間愛の物語だからだ。そして会社の在り方や、職に就く意義さえも含んでいる。
 主人公は高学歴ながら、ガソリンスタンドでアルバイトをしている青年。そこに会社副社長の美青年が現れることから、物語が始まる。主人公と副社長は、ある契約を結び、距離を縮めていくが、副社長には婚約者がいた。そして主人公に牙をむく副社長の崇拝者。そんな中、副社長が以前恋人を失っているという事実が明かされる。互いを必要とし、大切に想っているのに、何故か主人公は副社長の元を急に去ってしまう。そんな中、副社長は婚約者と会っていた。美人だが人のことを想えなかった婚約者も、主人公に感化され、別人のようになっていた。
 主人公と副社長。その父親である社長。秘書。婚約者。美容師。上司と部下。それぞれが自分の大切な人を見つけ、自分の道を見つけ、不器用ながらも人を想い、幸せを願う。その葛藤を、男性同士の恋愛という形で描いている。
 そして、主人公が副社長に渡したUSBメモリーには、副社長の会社を救うデータが入っていた。それを知った副社長は、秘書とある計画を実行する。
 他人が他人を本当の意味で思う時、進むべき道が現れる。
 一気読み必至の、純愛人間ドラマ。

 是非、是非、ご一読ください。

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