多くの名前から、多くの物語が生まれる。

 彼岸花の呼び名は、数えきれないほど多い。本作はそんな彼岸花の名前から想起させられる、連続短編集である。
 恥ずかしながら、「彼岸花」にこんなに名前があるとは知らなかった。しかも、全ての名前に、人々の願いや祈りが込められている。それをありありと感じさせてくれるのが、本作である。
 連続短編集として、「彼岸花」が主人公として、もしくは「彼岸花」がモチーフになって全体がまとめあげられている。どれも秀逸である。
 最後には名前の数ほど、その花に正体があることを知って腑に落ちる。
 貴方は、この花を、何と呼びますか?
 是非、ご一読ください。