第2話 本題に入ろう

「あー。そろそろ本題に入ってくれるかな?」

「あっ、すいません。忘れるところでした」

「あなたにはある世界で勇者になって魔王を倒してもらいたいのです。もちろん倒してくれたら、1つだけ願いを叶えてあげます。それに強いスキルもあげるので、すぐに死ぬこともありません、安心してください」


 ふむ、つまりここでスキルを貰ってから異世界転移して魔王を倒してハッピーエンド。最高じゃないか。


「スキルって何が貰えるんだ?」

「それはですね。この2つのサイコロを振って出た目の数だけ好きなスキルをあげます」


 女神様がどこからか2つのサイコロを取り出した。


 よしきた。こんなイベントで毎回当たりを引くのが得意なんだ。

 昨日だって0.01パーセントのアイテム1発でゲットしたし今回もやってくれるだろう。


「じゃあ振りますね」


  さあ頼むぞ俺の運、2つとも6を出してくれ。


 女神様の手からサイコロが離れ、地面に向かって落ちていき、転がる。そして2つとも6を出して止まる。


「2つとも6ですね。ではここから選んでください」


 まさかの最大値だったので思わずガッツポーズをしてしまう。

 よし。これで合計12個スキルが貰える。

 ん? ここからって何処?


「選ぶって何から選ぶんだ?」

「ちょっと待ってくださいね。今から出すので」


 出す? 何処から?

 すると女神様の上に魔法陣が現れた。

 青っぽい色でくるくる回ってる、大きさは3メートルくらいか。

 おっ、何か女神様が呪文のようなものを唱えてる、英語のような日本語のようなよくわからない言葉だ。


「少し離れていてくださいね」


 はーい、って離れる? 何で離れないといけないんだ

 ドドドドドドドド

 国語辞典くらいの本が降ってきた。それだけだと大したことが無いように思えるが実際はすごい、軽く100冊は超えている。もう僕の身長を超える山になってる、何冊くらいあるんだろう?


「20000と12冊ですね」

「心読むのは止めてくれ」


 読んでませんよーって顔で手を振りながらこっち見ても説得力無いから、あと人形の首がブラブラ揺れて怖い。


「えっと。こっから選べばいいのか?」

「そうですよ」

「無理」


 だって山だよ、20000冊超えてるんだよ。無理に決まってるじゃないか。

 仕方ない使えそうなスキルを適当に言ってみるか。


「病気とか毒とかのデバフにならないスキルとか、ものすごい速度で体力とか魔力が回復するスキルとか、あと剣も使いたいなぁ」

「状態異常耐性と超回復と天剣術ですね。欲しい剣はありま……」

「エクスカリバーで」


 僕は女神の言葉を待たずに言った。女神の目が丸く、いや姫様の人形の目が丸くなったが(どうやってるんだろう?)そんなことは重要ではない、なにせアーサー王のエクスカリバーが貰えるかもしれないのだ、あの様々なゲームで神器やエンドアイテムとして有名なエクスカリバーである、それが貰えるかもしれな―


「あっ、エクスカリバーは既に他の神が持っているので無理です」


 驚きから回復した女神様が僕の期待をぶち壊す発言をしてくれた。うん、期待して損したなー。でも他に剣の名前知らないしな。


「じゃあ何があるんだ?」

「とりあえず、破壊不能属性と絶対切断付きの剣なら出せますよ」

「名前は何なんだ?」


 変な名前だったら嫌だし、一応聞いておこう。


「刀です」

「は?」

「刀です」


 いや2回言っても変わらないし、名前が刀って安直過ぎないか。もっと正宗みたいなかっこいい名前が良かったんだけど。

 まあ、変な名前じゃなかっただけマシとするか。


「なら剣はそれを貰うとして、鑑定スキルをくれ。あと女神様と自由に話せるようにしてくれるか?」

「鑑定スキルと私と話す方法ですね、わかりました。その四角いので私と話せるようにしときますね」


 女神様が僕の左手を指さす。

 四角いの? ああ、スマホのことか。

 僕のスクロールする必要が無い電話帳を開くと確かに女神様の名前がある。

 女神様の名前サリアって言うのか。

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