魔王勇者の無双の旅

龍鳴 竜

第1章 旅の準備

第?話 神魔対戦

 ──眼下にはミンチになった肉塊をさらに細かくしている女神の姿が見える。


 女神は上空に浮いているその男の姿には気付いていない。

 あまりに隙だらけな女神を見て男が苦笑する。


 ──まさかさっきまであれだけの技量を持って殺しに来ていたアレがここまで隙だらけだとは。


 女神が肉塊に剣を向ける。すると女神の剣が光り輝き、視界が真っ白になる。

 しかし男の視界は即座に復活し、砂煙を払っている女神に目を戻す。

 女神の前、肉塊があった場所には大きな穴が空いていて光る玉を女神が落としている。

 隙だらけの女神に向かって着地様に女神の左肩から腰のあたりまで剣を振り下ろす。

 そして女神の驚き悔しがる顔を見てやろうと男は女神の方に振り向く。

 だが女神はほとんど表情を変えていなかった。

 いや、正確には先程よりも強い喜びの感情を笑顔で表していた。

 そして男も同じ笑顔を浮かべていた。


 ──ああ、なんて楽しい戦いなんでしょうか

 ──女神を殺してこのゲームは終わりだ。楽しかった。勇者を殺した時以上の楽しみだ。


 女神と男は似たようなことを思いながら敵を殺すための次の一手を放つ。


 これは女神と1人の男の狂気と戦争の物語である。


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