第7話 魔人からの呼び出し 前編

「蓮くん、そろそろ朝ごはんにしよう…」

「そうだな」


 やっと「…」が帰ってきた。良かった、このままグイグイキャラで来られるとちょっと、いや少し、…すごく疲れる。いつまでも葵は葵のままでいてくれ。


「あと異世界転移の件だが言ってなかったか?仲間連れていけるみたいだぞ。だから葵は俺と一緒に来れるぞ」

「わたしがついていってもいいの?…」

「もちろん」


 だって愛と勇気を連れて行っても寂しいじゃん。何処かのアソパソマソには成りたくないし。僕はボッチじゃない、何故かって?

  葵がいる!(格言)

 あっ、決めゼリフ忘れてた。

 僕は振り返って指をビシッと(ジョ○ョを読んでからのお気に入りを)して。


「だって僕と葵は友達だろう」

 キラーン


 決まった。あれ? 何で葵さんはそんな冷ややかな氷の目をしているんデスカ?


「蓮くん、そんな決めゼリフは主人公補正がかかってない人がやっても、変な目で見られるだけだよ…」


 そっかー。世間の変な目はそんな冷たい目の事だったのか。まあ、今回の決めゼリフはいいことを学べたから


「蓮くん危ない!」


 良しとしよう。って何、危ないって誰が?


 ──そこで僕の意識は途切れブラックアウトした。




「クレナイ レンさん、ヤッホー」

「は?」


 いやいや待て待て落ち着け展開が速すぎるもっとゆっくりいこう、読者も混乱してるじゃないか。まず今覚えてる最後の記憶を思い出そう。えっと葵にかっこいい決めポーズ(笑)を決めてそのまま後ろ向きに歩いてたら階段から…


「あああああぁ、全部思い出した」

「うわっ。びっくりした」


 そうだ、階段から落ちたんだ。ってことは僕は死んだのか。

 そうか、はは、死んじゃったのか。

 そう理解すると共に頬に暖かい滴がたれた、どうやら僕は思っていた以上にあの生活が好きだったみたいだ。泣いた、泣き喚いた、何も気にせずにただ泣いた、数分間ずっと泣いていた。


「えっと、落ち着いた?」


 誰かが泣き止んだのを見計らって声をかけてきた。

 答えられるような状態ではなかったが、人と話せるだけでも嬉しかった。


「──っ。はい、今の状況は理解はしました」

「そっかー理解しちゃったか。まだ君死んでないよ」

「は?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る