ほどほどの善人、等身大の主人公に必ず共感します!

高校生の七瀬は台風が接近する嵐の中、川に流されてしまう。
瑞風によって飛ばされたその世界には運命の人リウンがいて……。

王であるディオグは良政を行い国民の支持を得ているものの、王宮内では嗜虐的な嗜好により恐怖支配をしていた。
この設定、現実にも外面は良いけれど裏では腹黒いことをしている人って結構いるなぁとすごく共感。

ヒーローであるリウンも、主人公に会うことによって長いものに巻かれてきた人生や考え方を変えていく。
王道でありながら、思わずその変化を期待しながら読み進めてしまいました。

そして。
よく異世界にやってきた主人公は変に正義感が強くて現実味がない物語が多いのですが、この七瀬はほどほどの善人で「わたしがもし彼女だったら確かにそうするかも」のように無理なく感情移入できます。

こういった細かな心情描写が読者よりであるように語っていくことは、なかなか狙ってできる技でもないと思うので、作者様の才能には何度も唸らされました。
完結している作品なので、一気読みをおすすめします。