ヒロインを取り巻くイケメンたちとの恋模様、と思っているそこのあなた、要注意です。そこは否定しませんが、そのイケメンたちをじっくり見つめてくださいね。一癖も二癖も、見つかってしまうのではないでしょうか!
そこも含めて素敵に感じる、私とご同類のあなたもさらにご注意を。
作者が仕掛けた罠はイケメンだけではありません。そこここに登場する紅茶やスイーツ、時にはカクテルの、なんともおいしそうなこと!心を撃ち抜かれたが最後、ついつい茶葉売り場をさ迷い歩く癖がついてしまいますよ、私のように……(コーヒー派なのに)。
横浜を訪れた日にはきっと、ありす紅茶館を一目散に目指してしまうこと請け合いです。様々な出来事に、巻き込まれてみたい!
たくさんワクワクと驚きの隠された楽しいファンタジーをぜひご堪能あれ。
頑張る女の子のお仕事ストーリーが気づいたら異世界ファンタジー?!
主人公なぎちゃんがセクハラされて仕事を辞めたところから物語は始まります。
祖母の経営している紅茶館で仕事をしようと横浜山手を訪ねると、想定外の展開が待っていました。
初めての紅茶館経営にとまどいながらも協力してくれる仲間がいて、おはなしは徐々にファンタジー要素がトッピングされていきます。
「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」「アリス・イン・ワンダーランド」などへのオマージュ作品でもあります。
これらの登場人物をモデルにしたキャラクターも登場します。
ドキドキしてワクワクしてそれから胸キュンも。
なぎちゃん目線で物語を追っていくにつれてなぎちゃんの追体験ができます。
茶葉を育て、摘み、選別し、加工する。
その茶葉を最適の温度のお湯で最適の時間蒸らして香りを引き出す。
とっておきのカップに注ぐ。
ゆったり丁寧に費やす時間が美味しい紅茶を育みます。
本作も同じように大切に丁寧に紡いだ物語です。
今日も明日もあさっても。
なぎちゃんがこの物語の世界で生活しているのと同じようにいつまでもこの世界に浸っていたい。
横浜山手を歩いたならきっとこの紅茶館に行ってみたくなる。
なぎちゃんや仲間のみんなに逢いたくなる。
作者さまの作り上げた「ありす紅茶館でお茶をどうぞ」ブレンドの物語をぜひ。
美味しい読後感があなたを待っています。
主人公・なぎはごく普通の女の子。
目の前で次々に繰り広げられるファンタジーな珍現象や、楽しくも不思議すぎる外国人男子たち・クールな少女に振り回されっぱなし。
その時々になぎが感じることやリアクションが、どれも共感できるものばかりで、「うんうん、そうだよね!」と、自然に感情移入しながらお話を楽しむことができます。
いつも一生懸命で、けなげで優しい「応援したくなる系女子」であるなぎは本当に素敵な女性です。
お話のところどころで紹介される、オシャレでとてもおいしそうな紅茶館メニューの数々もお話の大きな魅力のひとつ。
私も今度紅茶に豆乳や黒糖を入れて飲んでみたいと思います。
「アリス」ベースのファンタジーな大冒険に、不思議な魅力がいっぱいの動物男子たち。
このお話で語られるたくさんの魅力に、癒されてみませんか?
誰にでも、いつの日も、心に浮かべる大切な場所があると思います。
彼女にとっての在りかは、祖母の営む紅茶館。観光地・横浜のガイドブックに載る老舗であり、あの“港の見える”薔薇咲く丘に佇んでいます。クラシカルな英国風内装、香り高い紅茶、テーブルを飾る数々のティー・スナック……これら全ての中心であった大好きな祖母を頼りに、“主人公・なぎ”は、再訪を決意するのですが――この時はまだ知りえません。そこに彼女の運命を変える不思議な出会いがあり、先へ広がる秘密の世界が隠されていることを。
物語を賑やかに彩る・ワンダー系美男子たちは、イケメンなのにイケメンなのにイケメンなのに……決して完璧でなく、思わず「きゅん」と心の高鳴る部分が見え隠れします。そして誰もがときめく素敵なものを、たくさんたくさん教えてくれます。外の世界で傷つき疲弊していた“なぎ”の心も、彼らの明るい励ましにより、ゆっくり絆されもふもふ癒やされていくのでした。読者も同様です、パンジェンシー!
また、エピソード毎に登場する紅茶やハーブティ、一味加えたカクテルなど、ご褒美レシピもたっぷり紹介されています。ありす紅茶館の味を再現し、ゆったり読み浸るのも素敵ですね♪ 温かな物語に、ふんわりとやさしい香りづけをしてくれました♡
そして最後に……。物語ご完結おめでとうございます。
お店へは、今までどおり通わせて頂きます ファンより
傷心――ハート・ブレイク――な主人公なぎ、彼女を癒やすのは、紅茶――ティー・ブレイク――の香りか、未だ謎多きイケメンたちか?
彼女の思惑外れた形で始まる新生活と決意は、新たな芽となって花咲くのか? 情緒溢れる舞台の中、対照的なライバル店との対比が物語を感じる対立構造の妙。
主人公×イケメン vs イケメンライバル×ゴスロリ少女。
懐中時計を手に、ウサギが目の前を走り抜けていくとする。例えるなら、今の私の気持ちは、こうである。
—— 追記 ——
最終話まで読了させてもらいました。
童話がベースとなるストーリーは芯が通っており、またストレートなラブロマンスの形も安心して読める。
この安心して読める、という部分は、特に恋愛というジャンルにとって地味に大切な部分だと感じており、作品のクオリティと作者のオリジナリティを読者に保証してくれるものだろう。
エピソードに差し込まれるレシピも心憎い。
文章の行間を、味で、匂いで、五感で楽しませてくれるものだ。
これからこの作品を読まれる方には、そう、紅茶でなくとも良いだろう。何か飲み物やお茶うけなどを隣に、リラックスしながら体感してもらいたい。