生きるとは、社会とは、幸せとは。

 主人公は勤めていた会社を退職し、デイトレードで生計を立てる日々を送っていた。そんな彼とは対照的に、友人の山田は真面目に会社に勤め続け、「働かざる者食うべからず」の精神に生きていた。
 社会に貢献すること。常に人と関わること。それが現代社会に属する条件であり、いかにそこに適応できるかで、その人の価値は決まる。それは間違いなく正義であり、山田もそう信じていた。
 生き方は違えたが、悪し様に思う必要などない。お互いがお互いなりに、それぞれの人生を歩んでいく――はず、だったのだが。

 正しい「社会人」としての在り方。人が幸せを感じられる条件。今の社会の中で、生きていく意味。私達が生まれながらに触れ続けている、現代の社会の「生きにくさ」を端的に描き出した意欲作です。
 ぜひ、ご一読ください。

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