コロコロ片手にゲートで幹部を待つ

とある海上自衛隊基地のゲートを守る陸警隊の一人である、真木二曹。彼女の朝は、とある幹部の身だしなみチェックから始まる。

とある幹部とは、初代南極観測船と同じ名前の宗谷三尉。この若き幹部はこの基地に所属している護衛艦に乗艦する、配属されてきたばかりの新人幹部だ。

そんな彼は、猫に好かれる。とにかく好かれる。
前世マタタビ疑惑を提唱されるほど、猫に好かれるのだ。
それはどこの基地に寄港しても同じで、まるであちこちの港に女がいる船乗りのように、知らず猫が寄ってくるのである。

もちろん猫たちも特殊能力(?)を持っている。
宗谷三尉が帰ってくるのがわかるらしく、まだ港に護衛艦が現れてもいないのに、基地のフェンス外に並んで待っているのだ。
その状態を見たゲートに詰めている陸警隊の面々は、護衛艦が帰ってくるのを――宗谷三尉が帰ってくるのを察するのだ。
とんでもない猫である。

それはさておき、真木二曹のチェックに戻ろう。彼女のチェックとは、宗谷三尉の猫の毛チェック。
作品タイトルのように、コロコロ片手に制服をコロコロ。
いろんな意味でちょっと困った顔をしつつも、宗谷三尉の一日の始まりは、こうして始まるのである。