華やかな存在である表のブルーインパルスに対し、アグレッサーは影の存在だ。
彼らがいるからこそ技術が向上し、日々脅かされる日本の領海を護ることができている。
戦闘機パイロットのエリートであり頂点でもあるアグレッサーは、全パイロットの憧れであると同時に、恐ろしい存在でもある。
それほどの技術力を有しているのだ。
航空自衛隊・小松基地の部隊のひとつである、教導飛行群。通称アグレッサーと呼ばれる戦闘機パイロットたち。
本作は、その部隊を率いる隊長である但馬一尉の出会いの話。
TACネームスマイリーこと但馬一尉は、三沢基地所属のF-2パイロットだ。その彼がひょんなことで出会ったのは、女子大生。
TACネームの通り常に笑みを浮かべている彼は、他人からすれば区別がつかない。だが、初対面にもかかわらず笑みの内容を理解した彼女は、その鋭い指摘に本人もタジタジ。
アグレッシブな彼女と、どこかおっとりしている彼は、いつの間にか彼女にキルコールされていた。本人はそれに気づくことなく、振り回しているようで振り回され、尻に敷かれているのである。
情けないというなかれ。どういうわけか、それでうまくいく二人なのだ。
終始のんびりとした空気が漂う本作は、読後もどこかほのぼのとした読了感を得られるだろう。