俺TUEEE!皆無の「なろう小説」

カクヨムで「小説家になろう」とは、思いきったタイトルでごわす。

しかし、この物語に俺TUEEE!や異世界転生などの要素は全くありません。

妙にプライドの高いこじらせ系の冴えない童貞野郎である主人公が、ある日不思議な神様のビガンゴさんと出会い、憧れの後輩娘を振り向かせるために小説家を目指して奮闘するという物語。タイトルのとおりです。

物語を読んでいて面白いのは、なによりこの主人公のダメ人間っぷり。
初めこそ神様を名乗って好き放題のビガンゴさんに振り回されている姿が気の毒に感じられますが、話が進むにつれて主人公のどうしようもない妄想癖や下衆な行動、ストーカーチックな性癖などが曝け出されてきて、全く同情できなくなってくる(笑)
森見登美彦作品を彷彿とさせるナチュラル変態の描写が見事です。

読み進めていくうちに、なぜかビガンゴさんのほうがまともに思えてきてしまうから、不思議でしょうがない(笑)
ぱおーんって怒るのが、なんか可愛い。ふと、だいぶ前に流行った、夢を叶える系のゾウが出てくる小説を思い出しました。

どこかずれているけど、ある意味ピュアな恋を成就させるために悪戦苦闘する主人公の姿に、時に大笑いしつつ、時に失笑しつつ、時にしんみりしつつ……。

究極に不器用な小説家のタマゴである童貞の恋の行方を、生暖かい目で見守っていきましょう!

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