日本の神話の本が、こどもの頃からだいすきで
(あかね書房の『くにのはじまり』とかのシリーズです。)
ああ、なんだかずっとわくわくして読みました。
あれは神さま同士のお話。涼月さんのは、神様と人間のお話なのです。
でも、神様も決して万能ではなく、悩み多き存在なのですね。
そう。神様も恋をするのです。
まるで駆け落ちのようなこともするのです。
それでも、その真名を教えてくれる覚悟を持ったなら。
ね、神様と恋をするってどんな感じなのかしら、静流さん?
他の人には見えてなかったりする人が、最愛の人。
ずっとあたたかいのかな。
もしかしたら、さみしさもずっと抱えたままなのかな。それでも。
じわーんとするお話に、ぜひお出かけください。
そして、番外編で、わぁとか、くぅとか、絶対言いたくなります。
童話や昔話のような始まり方をする短編連作。
人間と神さまとの恋愛と言えば、ギリシャ神話などがあるが、ああいったドロドロ感はゼロ。ほんわかしていて、それでいて切なく美しい恋物語だ。
数多いる神々と恋をするのは、特別な人間ではなく、ごく一般的な人々。ただ彼らに共通するのは、異質な存在も自然と受け入れることが出来る優しさを持っていることだ。
この物語でキーとなるのは、真名。神さまの本当の名前だ。
これを知っているか、知らないかで大きく運命が変わってしまう。とても重要なことなのだ。
生と死の混ざり合う場所に神の世界があるならば、それは私たちの身近だが普段は見過ごしがちな真実の中に神さまはいるのだろう。
とはいえ、そんな宗教チックなことは抜きにしても、単純に恋愛ものとして面白い。特に「どっかにいい相手はおらんかねぇ」などとため息をついている、あなた。案外、神さまに目を付けられているかもしれませんよ。