概要
「ライゼ・ルタ・クーリフ様。昔の話を、聴いてはいただけませんか」
大陸の裳裾にしがみつく小国・クストルでは、王位継承の典礼を控え、国中が浮き足立っていた。けれど渦中の王太子・ライゼは、王権の継承を前に不安を隠せない。
そんな少年王太子へ、異国から嫁いできた年上の妃・イシュリシアは、彼がいままで見たことのない、やわい色彩の宝石を示しつつ、己の過去を物語りはじめる。
たとえば、かつて小さな王女が過ごしたしあわせな日々について。あるいは、既に位を退いてひさしい異母兄王について。もしくは、かの王がながく水盤庭園に籠めていた、『輝石』の少女の思い出について。
……いつかの夜に彼女が託された花嫁の持参石を、その手の内側より明かしながら。
――これは南の果てのある島国の、王と女王と妃と臣下が、彼らの愛おしい相手へと語る、あるいは今も騙りつぐ、王位継承劇の顛
そんな少年王太子へ、異国から嫁いできた年上の妃・イシュリシアは、彼がいままで見たことのない、やわい色彩の宝石を示しつつ、己の過去を物語りはじめる。
たとえば、かつて小さな王女が過ごしたしあわせな日々について。あるいは、既に位を退いてひさしい異母兄王について。もしくは、かの王がながく水盤庭園に籠めていた、『輝石』の少女の思い出について。
……いつかの夜に彼女が託された花嫁の持参石を、その手の内側より明かしながら。
――これは南の果てのある島国の、王と女王と妃と臣下が、彼らの愛おしい相手へと語る、あるいは今も騙りつぐ、王位継承劇の顛
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