夢中の牛
PURIN
夢中の牛
変な夢を見た。
人間の身体に茶色の牛の頭を持った化け物が、ベッドで寝ている私に徐々に近づいてくる夢だ。
一歩ずつ、ゆっくりゆっくりと。
最初は何とも思わなかったが、確実にそいつはこちらにやってくる。
恐怖を感じているのに、どういうわけか身動きが取れない。
ついに化け物はベッドのすぐそばにたどりついた。両手を私の顔に向けて伸ばしてくる。
こわいこわいこわい。
でも、その光景をただ見つめることしかできない。
ハッと目が覚めた。
起き上がって自分の身体を確認してみる。何も異常はない。
ただの夢だったんだ。良かった。
だけど、何かがおかしい。
起きてから、何を食べても美味しくないのだ。
ふと庭に目をやる。
青々とした草が茂っている。
裸足で庭に飛び出し、四つん這いになって草を食んだ。
おいしいおいしいおいしい。
「何やってるの!?」
近所の知人の叫び声がした。
返事をしようと、顔を上げて声を出した。
「モー」という、聞き慣れない音が、私の喉から響いた。
夢中の牛 PURIN @PURIN1125
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます