外宮あくと

 雨が嫌いだ。君は好きだと言っていたけど。

 この世の汚れた物が洗い流されて、何かが生まれ変わるような気がするからって。


 濡れた墓碑を見て思う。やっぱり雨は嫌いだ。

 誰も生まれ変わりはしないし、君は汚れてなんかいなかった。

 なのに、雨は君を連れ去った。


 弾丸のような雨粒が、天を睨む僕を殴りつける。お前は汚れていると言いたいのか。

 それなら僕を清めてみろ。この心に積もった澱を、全て流し去ってみろ。

 消してみろ。


 さあ!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

外宮あくと @act-tomiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ