季節の隙間はいつも騒がしい。

読み終わってまず思ったのが、
「何だったんだこいつ……」

唐突に告白してホモ展開になるかと思いきや、どっかの星に帰るとか言い出して、何か二人して鍋とか用意し始めて、よく分からないまますげー爽やかな別れを遂げる。

こいつら何なんだ!
この物語何なんだ!

バックボーンだとか感情の機微だとか、宵さんの得意技である「僅かな言葉に込められた繊細な感情」を添えながらも物語のギアは全開であり、その細やかなレールを粉々にぶち壊しかねない荒々しいスピードを保ったまま駆け抜けていった。

しかしそこに不条理感や不完全燃焼っぽさはなく、むしろ台風一過のどこか晴れやかな景観のような、すっきりとした読後感がありました。

結局何しに来て、最期にどこへ行くのかも分からず終いですが、まあそれでいいんじゃなかろうか。彼らしくて。

個人的にレモンのくだりとても好き。
こういうところにセンスって現れるんだなぁ。素晴らしい。