Prorogue Ⅱ

次の日の昼下がり、俺は約束通り昨日の公園に足を運んだ。

そこには、

「あっ!、こんにちは!」

昨日着ていた服とは、うってかわって、自分の白い髪とは反対の黒いワンピースを着ていた。正直に言ってとても可愛かった。

「えーと?、へっ変かな?」

そうしてずっと見惚れていた俺に聞いてきた。

「いっいや!、似合ってるぞ!すごく可愛い。」

「うっうん、えへへっ、ありがと」

そういってお互いに顔を赤くしながら、中々話せずにいた。

「えっと昨日ぶりだな莉乃」

「うん、昨日ぶりだね、真人君!今日はよろしくね。」

「これからどうしようか」

「えーと、真人君に任せてもいいかな?私あまり外で遊んだことがないから。」

そういって莉乃は少し顔を俯かせた。

「分かったよ!俺に任せて、この夏休み中にこの街を好きになってもらうからな!」

そういって俺は、莉乃の手をとって歩き始めた。



□□■□□



そうして俺達は色々な所に行った。友達の家、もちろん俺の幼馴染の家にも。何故かそのときの莉乃の顔が少し怖かったのは気のせいかもしれないが。

その他にも山に海にと自分たちで行けるところには、すべて行った。

特に莉乃が喜んでくれたのは、一緒に夏祭りに行ったことかな。莉乃は祭りに誰かと一緒に行ったことがないと行っていたので、この夏休みの中でも1番と言えるほどの笑顔で楽しんでくれていた思う。

そんな楽しい日々を過ごしていたのだが、夏休みが終わる頃、突然その楽しい時間に終わりが訪れた。


□□■□□



「真人君、私夏休みが終わったら引っ越しをするんだ。」

「えっ?どういうことだ。何でそうなったんだ」

話を聞くと、どうやら莉乃に対してのイジメは俺が思っていたよりずっと前からあったらしく、莉乃が隠すのがうまいからなのか両親には気づかれなかったらしいのだ。しかし、つい最近母親が近所の人達と雑談をしている際に、莉乃が男の子にちょっかいをだせられているという、噂を耳にしたらしい。そこで母親は莉乃を問いただし、イジメを認知したらしい。そうして、イジメがあることを知った両親は、すぐにでもこの街から離れて誰も知らないところに行こうという話になったらしい。

「そんな、そんな急なのか!」

「うん、しょうがないよ。決まったことだからね。」

「莉乃は嫌じゃないのか!」

「わっ、私だって嫌だよ!でもいままで大切にしてくれた両親に我が儘言いたくない!」

そういって莉乃は、泣きながら俺に訴えてきた。

「分かった。決まってしまったことならしょうがない。でもこれだけは覚えててほしい。」

「うっ、うん」

「俺は、絶対に莉乃を忘れない。何があってもまた会えるって、信じてるからな。」

「うん私も、わっ、私も!絶対、絶対に忘れないから!!」

「ああ、約束だ。」


そうして俺のこれからも頭に残り続けるであろう、小学校最後の夏が終わった。



□□■□□




あれから、5年


俺は地元の中学に入学、そして卒業し、地元の進学校である、上城高校に入学した。対して、大きな変化も起きずに勉強と学校での生活をなに不自由なく、こなしていく、そんな1年間だった。

変化していないといっても、5年も経てば身体も変わっていき、昔のような少年じみた体つきではなくなり、身長は175cmほどと、平均より少し高めぐらいまで伸び、顔つきも少し細くなり、自分でいうのもなんだがそこそこ整った顔立ちだと思う。現に1年の頃はよく、女子の同級生にもてはやされていたものだ。なぜか、告白とかはなかったのが気になるが、そして、なにより少し勉強のし過ぎか目が悪くなってしまい、眼鏡をかけている。

まあどうでもいいか。



□□■□□



そして今は、2年生として初めての登校日である、始業式の朝、俺はベッドにいた。

「うーん?なんかおもいんだが」

寝起きの頭を動かしながらも、なぜ重いのかを考えていた。どうやろ俺の上になにかが乗っているようだ。そこで俺は思いきって布団を捲った。

そこには、

「んにゃー、ん……んー、えへへ、にいーさまー」

なんとまあ可愛らしい寝言をいっている妹様がいるではないですか。

この子は、俺の妹の如月 桜。俺とは違って容姿端麗、成績優秀、おまけに家事洗濯など一通りのことなら、何でもそつなくこなす、大和撫子なのだ。髪は俺と同じ黒髪で、それを伸ばし続けている。しかしロングでもその髪の毛はとても艶やかでとてもさわり心地がよい。しかし、今は身体を密着させているせいか、その髪の毛が俺の身体に当たってとてもくすぐったい。とゆーか、なぜこの妹は、兄貴のシャツを脱がせて、それを自分で着てそのまま上半身裸の俺に抱きついているのだ。やめろ!理性がその無駄に成長している胸が当たってる!

「おっ、おーい桜さんやそろそろ起きてくれないとお兄ちゃん、いろんな意味でヤバイんだがー」

「んー、ふぇ?……あっ、お早うございます、兄様♪」

うん、今日の桜も可愛い。あっちなみに俺はシスコンです。妹は、愛でるもの決して下心を持つべからずの精神で頑張っております。ちなみに桜もブラコンです。(本人談)

「うん、おはよう桜今日も可愛いぞー、うりうり」

そういって俺は胸の辺りにある桜の頭も撫で回した。

「んっ、えへへーにいさま、兄様もかっこいいですよ」

そういって桜は嬉しそうにしながら、俺の胸板あたりに頬を擦り付けてくる。猫みたいでとても可愛い。っとそこで俺の頭に稲妻が走った!そうだ、猫みたいな桜を見てみたいと。

「桜ー、ちょっと猫っぽく俺に話してみて?」

「えーと、猫ですか?わかりました!ごほん」

ごくり

「桜だにゃん♪、今日も一日頑張るにゃん「」

そういって桜は首を横に倒しながら、猫なで声で上目遣いで俺に言ってきた。

「ぐはぁ!」

あかん、これはあかん他の男どもには、絶対見せれない。

「桜、約束してくれそれは兄ちゃんの前だけしかしないでくれ、お願いだ。」

じゃないと、俺はそれを見た男を殴らないといけないからな。

「当たり前だよ!、こっ、こんなことするのは兄様だけだよ?」

ぐはぁ!あかん可愛すぎ


そんなことをしながらも、騒がしくいつもの朝を迎えた。



□□■□□



「よーし、準備はおっけーっと。」

桜は、今日は日直があり早めに出てしまったため、俺は一人でこの家を出ることになった。別に寂しくなんかないがな。ホントダヨ?

「戸締まりはよしっと、じゃ、行ってきまーす。」

そういって俺は、誰もいない家から出た。



□□■□□



しばらく通学路を通って登校していると、後ろからとんとんと叩かれた。そこで振り向いてみると。

「やぁ、おはよう真人」

そこには、俺の幼馴染の和泉 姫がいた。

彼女との付き合いはとても長く、幼稚園のころからの所謂腐れ縁というやつだ。彼女は誰にも話すことができる、とても性格がいいやつで、しかもその容姿もいいという、今時の高校生男子ならほうておかないと言えるほどに、とてもすばらしい女性だも思う。ポニーテールにした、黒く長い髪に、笑顔がよく似合う、整った顔立ち、そして、女子には珍しい170はあるであろう身長、そして、決して小さいとは言えないほどの、存在感がある胸と、とてもメリハリのある素敵な女性である。

「いやー、もう2年生だね。高校の1年間はあっという間というのは、よく聞くけど、その通りだったね。」

「そうだな、初めはどうなるかと思ったけど、案外順調に生活できていて、なんかちょっと肩透かしだ」

「ふふっ、それはどういうことだい?もしかして、中学の頃のことまだ、気にしてるのかい?」

「いや、なんでもないよ。気にするな。」

「まぁ、君がいいならいいんだけどね?」

っと、姫は意味深な笑顔を俺に向けてくる。

「あっ、そうだ、話は変わるが、今日転校生がウチのクラスにくるんだよ。」

「へぇー、よく知ってるな。さすが生徒会長は違うねー」

そう姫はその容姿とたぐいまれない人気を生かして、1年の頃から、今まで生徒会長として過ごしていたのだ。

「いや、そんな大層なものでもないさ、ただの少し重い肩書きだよ。」

そういって、俺達は他愛もない雑談をしながら、学校へと向かうのだった。



□□■□□



そうして俺達は、学校につき、同じクラスであるためいっしょにクラスのなかにはいった。

そうして、そのまま始業式が終わりクラスでSHRが、始まった。

「よーし、よかった男子諸君今日女の子の転校生がいるぞ。」

よっしゃーー!!

「可愛いこかな!」

「是非仲良くなりたいぜ」

「結婚を前提お付き合いしたい」

今日もうちのクラスの男子は元気でなにより。

「よし、もうはいっていいぞー。」

そうして、扉を開けて部屋に入ってきた。

そこには、白い髪に、そして、1度見たら忘れることができないであろう、綺麗な赤い目、そしてしみひとつない肌、そんな姿を見て俺は、どこか懐かしさを感じていた。

そうして、転校生は、みんなの前に立ち自己紹介をした。

「皆さん、初めまして。今井 莉乃と言います。よろしくお願いします。」

そこには、5年前に別れたはずの少女がいた。

「そして、このクラスにいる、如月 真人君の恋人です♪」



Prorogue End

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