詩『仮面(ペルソナ)』の原文と翻訳
数回に分けて詩『
『
夜が眠らない
知らない間に 両手で温もり隠す
その指先は声を求める度
小さな罪を背負っていく
月夜に消える その人影は
明日へはばたく どこか悲しい
罰を浄化するため 夢の地図広げ
霧がさまよう中で 辿りついた街は
無機質な微笑こぼす 人が住む
ひび割れた
月夜が照らす その人影は
孤高の波に
鮮血の異邦人
月夜を惑わす その人影は
すれ違いのまなざし入り組む
背中合わせの時間
風の鳴き声に
この
『
[長い間、人との関わりや接点を避けて生活をしてきたあなた(ファントム)の心は、深淵のような闇や時間に支配されているのね。そんな心に支配されているのか、私(クリスティーヌ)が声をかけても、あなたは普通に返してくれない……。例えあなたが類まれな音楽・芸術の才能に恵まれているとしても、自分から人を遠ざけては何の意味ももたないわ。無意識のうちに自ら人を遠ざけていることに、少しでも早くあなたに気付いて欲しい……
そんなあなたが望む世界(私を妻にすること)を手に入れようとすればするほど、自らその体を泥沼に沈めてしまう。むしろその体には傷が増える一方で、あなたという存在をどんどん汚していく……
人との接し方を知らないあなたが行う方法は世間一般からは認められず、より一層人として戻る機会や貴重な時間を失ってしまう……
[人質だった私を解放したあなたは警察へ自首せずに、そのまま行方をくらますでしょう……。だけど私は、あなたがやっと人間の心を取り戻してくれたのだと思っています。
あなたは自分が犯した罪を懺悔するために、今日も1人でこの世界をさまようのですか? 行き先や目的地も決めず……ただ自分の安住の地を求めて……今日も……必死の思いでたどり着いた街で待っていたのは、あなたが思い描いていたものとは違う世界でした。
そこは力や悪が正義という独自の世界観があり、あなたが求める愛や優しさなど一欠片もありません。ほんのわずかですが、愚痴をこぼしたり愛や優しさを求めるという声もあります。ですがそんなことを口走れば、この世界では仲間外れにされ生きていけなくなる……
そんな世界で生活を続ければ、近い将来、あなたは再び凶暴な人格「ファントム(A)」に、心を完全に支配されてしまうでしょう……いえ……もしかしたら、もうその一歩手前まで来ているのかもしれませんね……
月明かりの下で動くあなたのシルエットは、今日も涙を流し人の心を求めています。せっかく類まれな音楽の才能を授かったのに、あなたはそれを良い方向へ活かそうとしませんでした。そのことを知った時にはもう手遅れで、あなたの手は真っ赤に染まってしまいました。
それはまるで、異国の地からやってきた『鮮血の異邦人』とも呼べる存在のようです……。結局あなたも時代の波に翻弄された、哀れな被害者なのですね……
[毎日空からあなた(ファントム)のことを見ていたお月さまでさえも、分からなかったことがあったみたいです……まさかあなたが朝型の規則正しい生活をするなんて、誰が思っていたでしょうか?
そんな規則正しい生活を始めたあなたですが、結局心から愛する・尊敬する人には巡り合えなかったのですね。表向きは一緒に行動する知人や仲間という間柄ですが、物事の考え方はあなたとは正反対です。ごく少数ですが、あなたと同じ考えを持った人もいるでしょう。しかし人が毎日入り組むその街の中では、お互いのことを深く知ることは出来ないでしょう。近くにいながら遠くにいるような感じがする……そんな時間の中で、今日もあなたは生活をしているのですね……
コーラスガールという職業に就く私にとって、日々の歌の練習は欠かせない日課です。時折人目を盗んでは山や谷へ行き、一人練習に明け暮れることも珍しくありません。
新しい住まいの住所・連絡先を知らないため、今の私にはあなたへの連絡方法がありません。そう分かってはいますが、私の現状を知って欲しいという意味を込めて、今日も私は山や谷の
心の天秤 月影 夏樹 @six4ydct
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