五行について ⑨食物と五行

 今回は前回の補足といいますか、「こんな場合にはこの属性の食べ物を食べるべし」という感じの内容です。


 まず、季節と五行と食物はこんな↓感じの関係でしたね。


   | 木 | 火 |     土    |  金 | 水 |

陰陽 | 少陽 | 陽 |     中間    | 少陰 | 陰 |

季節 | 春 | 夏 | 季夏・四季の終わり |  秋 | 冬 |


五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |

五味①| 酸 | 苦 | 甘 | 辛 | 鹹 |

五穀①| 麻 | 麦 | 米 | 黍 | 大豆 |

  ③|大小麦| 𪎭黍| 稷栗| 胡麻|大小豆|

五畜 | 犬 | 羊 | 牛 | 鶏 | ぶた |


 ついでに、物すっごい今更感がありますが、五行相克図も私なりに再現してみます。まずは五行相生(=AがBを生み出すという、陽の関係)から。


              木

           ↗     ↘  

         水         火

          ↖       ↙

            金 ← 土


 次に五行相剋(=AがBを滅ぼすという、陰の関係)はこうなります。


              木

           ⇗     ⇘  

         金         土

          ⇖       ⇙

            火 ⇐ 水


 で、肝心の本題なのですが、諸説が入り乱れているので簡単にまとめます。


 味付け:その季節の=五行の配当において同じ属性に属する味付けを基本とし、前の季節に属する味付けは控える。※ただし、土は例外的に、土の味付けのみとします。また季節の循環に土の季節は含めないものとします。

 食材

  春:木の食材の他、寒ければ火の食材も用いる。

  夏:熱いので、水の食材を用いる。

  季夏・四季の終わり:土の食材を用いる。

  秋:金の食材の他、木の食材も用いる。

  冬:水の食材の他、火の食材も用いる。


 どうして冬は寒いのに、水の食材も用いるのかというと、人体における陽気のバランスが関係しています。五行思想において、春と夏は陽気が人体から出ていく季節であり、秋と冬は陽気が人体にこもる季節なのだそうです。そのため冬は、内にこもっている陽気とのバランスを取るため、水の食材も用いなければならないのですね。

 ……正直、「ふーん」以外の感想が出てこないのですが、次に行きましょう。次は病気と五行の関係についてです。


 人体は五行思想において、このように↓割り当てられていましたね。


五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |

人体 | 頭 |胸脇 |心腹 | 股 |手足 |

   | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |

   |皮毛 |爪筋 | 肉 | 骨 |血脈 |


 このパートでは以下↓のように割り当てが変わっているところがあるのですが、言いたいことは食材の時とほぼ同じです。


五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |

人体 | 骨 | 気 | 肉 | 筋 | 脈 |


 たとえば骨の働きを強めたかったら酸を摂取する。腎臓の働きが強すぎたら、塩分を控える。また骨の(=木・春の)病の時も、塩分(=木を生み出す水の味付け)を控える。筋の(=金・秋の)病の場合は、酸味(=木の味付け)を控えるべし、というようなことが述べられています。食材に関しても同じような感じです。

 ここらへん、五行相克の他、前述の季節における陰陽のバランスも関係してくるのでしょうね。また、病の原因によっても変わってくるでしょう。同じ症状でも、季節によっては推奨される食物が変わってくるかもしれません。

 要するに、重要なのはバランスを取る、ということでしょうね。何かの働きが多すぎて病になっているのなら、それを減少させなければならない。逆に何かの働きが少なすぎて病になったのなら、それを増加させなければならないでしょう。ここらへんが漢方の基礎なのでしょうね。とても奥深いです。これ以上深入りする気が一切しないほど奥深いです!!

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穴だらけの知恵袋 田所米子 @kome_yoneko

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