普通の少年少女たちの苦くとも甘い日常生活
- ★★★ Excellent!!!
少年少女たちは何でもない毎日に一喜一憂する。
時に笑顔を見せ、時に悩み、時には涙を流す。
勿論楽しい事が続くとは限らず、辛い事も多くある。
人間関係に至ってもそれは同様で、友達だからと常に仲良くできる訳じゃない。
好きだから好きになってくれるなんてある訳も無く、その心の有り様にかき乱されるような気持ちを覚え何とかしようと悩みを抱える。
自分自身が判らないままに周りの状況が動き、取り残されまいとしがみ付こうとする。
そんな何処にでも居る普通の学生たちが、必死に考えて苦悩し乗り越えて行く姿は輝かしい未来を連想させるのではないだろうか?
一言で言い表すのなら期待と不安の綱引きと、軽快なステップでのダンスの連続とでも言うべきでしょうか。
綱が緊張感を持ちピンッ!っと張り詰めた時の展開は読んでて不安になる事も有ります。
大丈夫だろうか?と内心の不安を抱えながら次の展開を読み進めるのですが、同時に期待の方も大きくなっていきます。
ですが常に張り詰めっぱなしではなく、日常の一コマなどでは綱引きも休日とばかりにだらんと垂れ下がります。
そうなると今度はちょっとしたギャグパート宜しく、コミカルなリズムで期待と不安が仲良く手を繋ぎダンスを始めるようなそんな楽しい一幕が繰り広げられます。
緊張感の連続でハラハラしっぱなしだと疲れてしまうけれど、だらけ切っちゃうと唯のギャグシナリオになってしまう。
その二つを程よいバランスで組み合わせてあり読み応えを感じさせてくれます。
登場人物の心情面の描写はとても繊細で、読んでいて感情を重ねてしまう場面もありました。
一人一人が本気で考えて悩み抜き未来へ進もうとする姿がありありと浮かんできますよ。