錯綜する人間模様と輻輳する異世界模様

 物語は現在、第四章の半ばまで到達している。
 ここまで至る道程で、読者諸兄は幾度となく作者の仕掛けた罠に引っ掛かってしまっているに違いない…私もその一人に過ぎないのだが…。

 第一章にて提示される『死なずに異世界転生をする』と云う方法論が目新しいが筆致が易しい故に、他がテンプレ(失礼!)のよくあるライトノベル的な展開で、物語が進んで行くのだと私は勘違いしていた。

 第二章にて人称視点が変化し、別の側面から物語を補完するようにトレースするのかと少し驚かされたのだが、作者の罠はそのように単純なモノではなかった。

 第三章において、脇役にしか見えていなかった人物の視点から語られる前述二章の解決編とも云うべきまとめと、エピローグの内容において…物語がそのまま終結していたとしても、何の齟齬もなく何の不満も出なかったに違いない。

 しかし作者は第四章〜第七章までの継続を予告する。
 章タイトルから全てを推し量ることなど不可能ではあるが、現実世界の住人を異世界へ誘う『呪い』の謎と…私が個人的に気に入っている人語を語らぬ猫人(?)の謎が解き明かされる時にこそ、この異世界の存在と成立要件が開示され…作者の意図した物語の本質が浮かび上がるのだろう。

 小難しく書いてしまったのだが、物語自体は読み易く…そして恋愛も絡めた展開が主体となっている素敵な異世界譚だと私は思う。

 一読者として願わくば、この物語が最終章まで到達し…最後の最後まで私を、そして全ての読者を驚嘆させてくれるよう祈るばかりだ。


2021.3.1
   澤田 啓 拝

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