第六話 訪問者
源内の長屋は両国広小路を西に330
(現在の東京都千代田区岩本町2丁目あたり)
『長屋でもう少し土左衛門の
江戸の町は100万人もいるものだから、防犯・防火などの対策のため住居エリアごとに
こういった監視の目は
<向こう
源内達はどうにか誰からも呼び止められることもなく、借家のある
この木戸にももちろん
名は
平七は源内の姿を見て顔を出してきた。
「お
あれ、ずいぶん濡れておいでで、おや?」
平七が源内の後ろ、一馬の背にも気づき
「ああ、火消したちに思いっきり水ぶっかけられてな」
「あの
「見世物を見に来た客だ。煙に巻かれ気を失ってしまってな。
「見たところ相当具合が悪そうだ・・・」
平七は
「ほれ、以前もどっかのじいさん、見世物見に来て急に
「そんなこともあったっけねえ」
「ささ、そこを通してくれ。エレキテルも濡れちまってな、早く乾かさねえと」
源内が振り返ると、それに合わせて福助が
「へえ・・・」
「
「へえへえ」
源内達は木戸を抜けると、なんとなく
* * *
「先生っ(≧∇≦)!! 大変ごぶさたしておりましたあ!!」
「うわ!」
戸を開けた源内がマリアを背負ったままひっくり返りそうになったのを一馬と福助が体で支えた。
長屋には一人の侍が源内たちを待ち構えていた。
「ブスケ!」
「殿のお供で本日江戸に参りました。
ほらこのとおり(゚∀゚ 三 ゚∀゚)!!」
まん丸い
「なんだよ、
「急に殿が江戸行きとなりお
「ブスケ? 先生?」
土左衛門の女を背負った一馬が源内の後ろからその侍を
「ああ、ほら
「
「い、一番弟子ぃ??」
一馬は源内の一番弟子を名乗った、自分と同じくらいの年齢の侍にちょっと不満そうな顔を向けた。
「
「ほう!てことは私とあなたは
「は、はあ…」
一番弟子を勝手に取られ、しかも一方的に弟にされて一馬はなんとも
「
「
源内の背ですやすやと寝ているマリアに気づいた直武は、その後ろの一馬が背負っている土左衛門の女にも目を向けた。
「ああ、早速で悪いが」
「は?」
源内は
「ちと、外をな」
「福助は女物の
「へい」
と言って福助は荷物を土間に置くとかまどに火をつけて水を鍋に
* * *
源内たちが住む
一階は
厚手の和紙に金と
日本でも
二階は源内の
マリアを背負って二階へ上がってきた源内は、足で
すぐさまマリアを
源内は一馬に支えさせて女の
うっすらと
次に脈を見たり胸に耳をあててみるが
一馬は息を飲んで源内の
『死んだ人間を生き返らせたのに等しい』
源内は、女の横で安らかな寝顔で眠っているマリアを改めて見つめて、おでこをさすってやった。
福助が浴衣を持ってきて顔を出した。
「
源内は福助から浴衣をもらうと、ひとつを一馬に手渡した。
「一馬、その女着替えさせてくれ
どうやらやることねえや」
「は?」
「そのままじゃあ風邪ひいちまう、体を
源内はマリアの頭を優しく持ち上げ髪を解き始めた。
* * *
「うん
いい
次いで山菜の漬物に手を伸ばす。
「おい一馬、お前もこっち来い」
かまどで焼き物をしていた一馬は
福助が一馬に大きめの
一馬は
直武はその様子を満足気に眺め、天井に目を送りつつ源内に聞いた。
ただの明るい侍ではない顔になっている。
「で、先生」
「うん。あれな、土左衛門」
「はあ?」
「大川に浮いていたのさ…殺し
「・・・」
直武は座り直してちびりと酒を舐めた。
「ほぼ死んでたがマリアが治した」
直武はぐいと酒を飲み干し無言で
「これを見てくれ」
源内が
「あの女の
直武は少し酔って赤くなりはじめた鼻に似合わない鋭い眼光に変わり、その
「
「そのとおり」
源内はぐいと酒を
一馬が驚いた顔で反応した「薩摩…」
その時、一馬の頭上から大きなものが落っこちてきた。
「きゃあ!!」
ドシーン!!!
「ぐえ!!」
天井裏の
「いたたた・・・イッたーーーーい!」
「うええ・・・」
「カズマ、ごごごゴメン(≧艸≦)」
「ま、マリアちゃん 目、
「手はどうだ」
マリアはにぎにぎと手を動かして見せて
「うん、このとーり!ありがと、センセ!!・・・あれ?
「おおマリアちゃん、久しぶりでござる!」
「ん、えーーーーと?」
「ほら!
「・・・あーーーーお酒ときれいな女の人が大好きで殿様にすっごく
「いやははははマリアちゃん、あははははは・・・絵が上手いってのが抜けてるなあ。さ、まんずまんず、こっちさ来い。一緒に
直武は頭を
マリアがぐいと一気に
<つづく>
カラクリマリア 戯画團 戯曲工房 @Giga-Dan_Simogumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。カラクリマリアの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます