第5話 ここから、また、君と。
後日、本当に清水インパルスから俺の所にオファーが来て、晴れて俺もプロサッカー選手になった。元々獲得する予定だったのか、ケンタロウの代わりだったのかは分からない。だけど、俺にはそのオファーを断る理由はなかった。
そして、今日。ついに俺はデビュー戦を迎えようとしている。
胸に当てた手を下ろし、ゆっくりと目を開けた。いよいよ入場の時間だ。
俺はしっかりと前を見据えながら、広大な緑の海原へと足を踏み出した。
アイツはもう、ここにはいない。だけど、きっと空から見ていてくれるはずだ。――いや、違うな。俺とアイツは、もう一心同体だ、きっと俺の心の中にいる。
だから、いつだって俺を支えてくれるし、背中も押してくれる。やっとまた一緒にプレーができるな――そう思うと高鳴る鼓動を抑えることはできなかった。
本当にこれまで、楽しいことも苦しいことも、嬉しいことも辛いことも、たくさんあった。それが全部、今の俺の力になっている。
――聞こえるだろう、この歓声が。見えるだろう、この景色が。
進め、進め、どこまでも。お前と一緒なら、俺はどこまでだって飛べる。
心にそう言い聞かせて、ケンタロウに語りかけるようにそう心の中で呟いて、また一歩を踏み出した。
お前がいなかったら、俺はサッカーに出会えていなかったかもしれなかったんだ。本当にありがとう。
新たな戦いの始まりを告げる笛が、空高く鳴り響いた。
勝利の鐘は青空に響く 夜野さくら @yozakura53
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