あの光源氏が、まるで自分のすぐ隣で無邪気に微笑むような。

千年の昔から変わることのない永遠のスーパースター、光源氏。『源氏物語』は、そんな彼と美しく魅力に溢れた姫君達との、色とりどりの恋の物語。
けれど、学校の授業などで古語辞典をめくりながらうんうん唸った記憶が、その世界をちょっと近寄り難いものにしている気もします。

この物語は、普段なかなか奥を覗くことのできない光源氏の華やかな暮らしぶりを、彼を取り巻く姫君、従者、女房達の生き生きとした視点を通して賑やかに、そしてコミカルに描き出す、大変新しい切り口の作品です。今様の軽やかな空気をしっかりと取り込みつつ、当時の風物や行事など正確な時代考証の加えられた描写とのバランスも崩れておらず、作者様ならではの優雅で明るい空気を生み出しています。

『源氏物語』関連だからと身構える必要の一切ない、イケメンスーパースターと彼を取り巻く人々の、底抜けに楽しいストーリー。いつ訪れてもほっと心を癒してくれる、明るい魅力に満ちた物語です。

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