千年の昔から変わることのない永遠のスーパースター、光源氏。『源氏物語』は、そんな彼と美しく魅力に溢れた姫君達との、色とりどりの恋の物語。
けれど、学校の授業などで古語辞典をめくりながらうんうん唸った記憶が、その世界をちょっと近寄り難いものにしている気もします。
この物語は、普段なかなか奥を覗くことのできない光源氏の華やかな暮らしぶりを、彼を取り巻く姫君、従者、女房達の生き生きとした視点を通して賑やかに、そしてコミカルに描き出す、大変新しい切り口の作品です。今様の軽やかな空気をしっかりと取り込みつつ、当時の風物や行事など正確な時代考証の加えられた描写とのバランスも崩れておらず、作者様ならではの優雅で明るい空気を生み出しています。
『源氏物語』関連だからと身構える必要の一切ない、イケメンスーパースターと彼を取り巻く人々の、底抜けに楽しいストーリー。いつ訪れてもほっと心を癒してくれる、明るい魅力に満ちた物語です。
千年の時を経て、いまだに女性を中心に胸をときめかせる希代の物語、それが「源氏物語」です。
映像、漫画、文芸に関わるクリエーターたちに、一度はこの物語を自分流にアレンジしたいと思わせる我が国の最高傑作と呼んでも過言ではないでしょう。
そして、ここに大胆に「桜井今日子バージョン」なる新たな「源氏物語」
が誕生いたしました。
根底は無論本家のストーリーを追っております。ご覧いただければおわかりになりますが、パーフェクトに編曲されております。
例えるなら、バッハやモーツァルトの原曲を、現代風のポップな表現で語るというアレです。いくら原曲が良くても、アレンジャーの腕が悪ければ台無しです。今作は喝采をおくりたいほど見事にキマっております。
笑いあり、涙あり、ハラハラドキドキの「新・源氏物語」です。
どうせ編曲するならこれくらいでなきゃ、いけません。
とにかく読み応え十二分の仕上がりとなっております。
老若男女問わず、どなたへもお奨めできる良作です。
読んだ事が無くても、源氏物語の名前くらいは知っているという人も多いでしょう。
この物語はそんな源氏物語の主人公、光る君と彼を取り巻く人々のが巻き起こすラブコメディです。
数多の女性と浮名を流す、稀代の女好きである光る君。現在ではバッシング物の彼ですが、時は平安時代。一夫多妻が文化としてあるこの時代では彼の好意も咎められるものではないのです。
それに光る君は惚れっぽいだけの男ではありません。パレス六条平安呼ばれると東京ドーム1.3個分に相当する大きな御殿を建ててはそこに何人もいる奥様方を屋敷に住まわせ、その一人一人をしっかりと愛するという愛多妻家なのです。
ただ、いくら何でもこの多すぎる彼の女好きには浮かない顔をする奥様や、騒ぎ立てるゴシップ誌なんかももちろんいるわけで。
時に光る君の前で修羅場を展開させる奥様方。カプチーノを飲みつつ光る君の女性関係について噂をする女房達SKJ(三人官女)。
光る君に仕え、彼の女性関係に振り回される羽目になる源ちゃんズ(光る君私設管弦楽団)。
魅力的なキャラクターがBarでお酒を飲みながら恋愛観について語ったり、週刊誌を読みながら恋バナで盛り上がる姿は「平安時代なのに?」と思わずツッコみながらもそのギャップが面白く、次は何が起きるのかつい気になってしまいます。
源氏物語に興味はあるけど、堅苦しいイメージがあって中々読めないと言う人こそ、ぜひこの作品を読んでみてください。
修羅場も恋バナも苦労話も、クスリと笑えて楽しめるお話となっています。