「正しい恋」も「普通」もないのかもしれない

当たり前だけど、やさしくて大切な日常が少しずつずれていく、あるいはずれに気がついていく感覚。ページをリロードする度に、物語の折り返し地点に立ち会っている気がして、サスペンスを読んでいるようなスリルでした。いつからあったのかもわからない、一度気になるとどうにもならない綻び。積み上げてきた絆のようなものが崩れていく不安。それらがどうしようもなく心を痛めるのに、どこか心地よい感覚。誰も正しくないけれど、誰も悪くない人間の性をとても細かく描写されている作品だと感じました。一つの人生を体験したような錯覚を抱きました。密度の高い素晴らしい作品をありがとうございました!

このレビューの作品

炭酸水と犬

その他のおすすめレビュー

@Soystoneさんの他のおすすめレビュー1