彼らはきっとそこにいる

全体を通して主人公の手記を覗き見しているような臨場感がありました。(作中に語られる彼曰く彼女のセンスの良さが描写の美しさを物語っているなと感じました)
主人公の視点を通した登場人物の描写が(いい意味で)あまりにも生々しく、湘南を歩けばキャラクター達とすれ違うのではと錯覚をしてしまいました。
おそらく作者様の中では語られずとも登場人物全員に細やかな設定がなされているのだろうなと...。
それゆえに主人公への感情移入が凄まじく、特に同じような恋愛経験がある当方は心では血の涙を流しながらもスクロールする手を止められず、中盤〜終盤では憎いと思っていたキャラクターにも魅力を感じてしまっていました。(ただただ作者様の表現力に脱帽です)

作品としては結婚が恋愛の先にあるのか、それとも生活の先にあるのか。そしてどちらがその先に幸せをもたらすのか。そもそも恋愛とは愛の形とは。30を目前にした女性の人生の分岐点での選択について考えながら読ませていただきました。
(ちょうど主人公と同じ世代なので友人のような気持ちでした)

これ以上はネタバレしそうになりますので番外編を読みつつ然るべきところにて思いの丈を語ろうと思います。笑

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