ヒロインになんてなれないはずだった。なのに紅蓮の瞳が見つめるのは……

一気読みで楽しませていただきました!

乙女ゲーをやり込んだ主人公が転生して大好きなゲームの世界の住人となってしまう物語。
けれども、彼女が転生したのはゲームのヒロインではなく、攻略対象であった三人の王子の乳兄弟でした。
彼女はゲームのヒロイン・ティアが現れるその日まで、最高にお気に入りのキャラだった第一王子のエルシオ様を密かに支えようと心に誓うのです。

全体にコミカルさを滲ませつつも、登場キャラにそれぞれきちんと背景があって、どのキャラにも感情移入してしまいます。
お城のメイドとなった主人公のネリは乙女ゲーのエルシオルートを再現するべくそれこそ盲目的にあれこれ画策するのですが、そんな彼女の言動に周りは振り回されてしまいます。
イケメン王子達が彼女の鈍感さに翻弄される様子もおかしくてニヤニヤしてしまうのですが、途中からヤキモキ、ハラハラ、それぞれの人物の切ない心情が浮き彫りとなって胸が締めつけられるようになってしまい、最初から最後まで読む手が止まりませんでした。

ネリによって語られる文章はとても読みやすくて好感が持てます。
何より素敵だと思ったのは比喩表現。
コミカルな心情描写から、胸を抉られるような切ない思い、美しすぎる王子達の容姿など、バリエーションに富んだ表現でありありと鮮明にイメージができて物語の世界に引き込まれます。
登場人物はみんなとても素敵で愛らしく(序盤に出てきた意地悪キャラすら憎めない。笑)、ストレスなく楽しく読むことができるおすすめの恋愛ファンタジーです(*^_^*)


……乙女ゲー、やってみようかな(ボソッ)

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