プロローグ

その少年はとても気味が悪かった。

戦争から帰ってきた者は怪我をした者や、身体が無くなっていたり、また、死ぬ者もいた。

だが、1人だけ怪我をせず泥だらけで帰ってきた者がいた。

少年は雪のように真っ白な髪の毛に、熟された果実のような真っ赤な瞳。痩せ細った身体の肌には首から下まで真っ黒なアザで覆われていた。

そんな彼らを見た第0地区以外の者達は「どうせ、逃げ回っていただけなのだろう。」と口々に言った。だが、ある1人の男が言った。


『あの真っ黒なアザは敵の攻撃を通さないんだ。』

『銃で撃たれても跳ね返り、剣で攻撃しても真っ二つに割れてしまう。』

『それに一度千切られたとしても、また再生するようになっているそうだ。』

『それだけじゃない。車よりも早く走り、象よりも力持ちと言われている。』

『あいつは一体何者なんだ?』


後から聞いた話では、第0地区【音無-オトナシ-】の特有の能力

【身体の全てを強化する力】

を持っていると聞いた。

例えば、足だけを強化すれば脚力が高まる。腕だけを強化すれば腕力が高まる。

また、細胞を強化すれば回復力も高くなる。

だから彼は無敵だと言われたのだ。その強さを軍はかなり賞賛していた。

しかし、少年はそんな能力を好まなかった。理由を聞いたが教えてはくれなかった。

ただ、 彼は周りからこう言われる。


『真っ白な髪の毛は神様、真っ赤な瞳は悪魔、だが見た目は人間。

だが彼は、神様でも悪魔でも人間でもない。

彼こそが本物の怪物。

【史上最強のZERO使い】』と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ZERO-ゼロ- 黒月 @gray_Luna

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ