引き絞られた矢は、鳥となって

この小説は短編である。

2万字というほどほどの長さ、技巧派の書き手という認識から、読み手はひたすらに駆け抜ける物語がどこで転倒、反転、挽回するか機を待つが、疾走はやまずそのガワをばりばりと剥ぎ落として疾走したまま変容してゆく。そしてその変容した姿を世界にゆだね収まるところへと収まってゆく、読み手はただそれを見守るしかなく、どこまでも見守るしかなかった。


すでに商業出版された3作と、根底のテーマを同じくするものであるのでしょう。確かに青春小説であり、青春を取り巻く意識と世界を描いた、美しさを提示してみせる作品でした。

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