進物
水円 岳
進物
「
「なんじゃ」
「
「進物? 違うであろう。いつもの嫌がらせであろうて」
「嫌がらせにしては大層な……」
「それはそうよ。貧乏姫に己の富をひけらかすのが、あやつの趣向じゃ。ほんに嫌味なやつよの」
楓姫の下男が
「素晴らしい
あやつがそんな
「
「あ……」
「埋め草は、
梓が、くたりと首を垂れた。
「実海棠は傷むとよく匂うからのう。鼻で食せと言うことよ」
「ここまでひどく当たられると……」
「なに。愚か者は捨て置けば良い。刻んで
口角を上げた梓が、ごくりと喉を鳴らした。
「では早速」
箱の中に手を入れて比較的傷みの少ない実を取り出した梓は、いそいそと台所に向かった。
「大儀じゃが仕方あるまい。どれ、返歌を書くか」
礼など返したくはないが、返さぬと後で何を吹聴されるか分からぬからの。
茜さすまろき実既に
【 了 】
進物 水円 岳 @mizomer
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