都の空の朧月

作者 穂乃華 総持

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★★★ Excellent!!!

キャラクターの言葉遣いはもちろん地の表現もすべて平安文化に合わせたものとなっており、世界観が凄くしっかりしています。そのため作中で織り成される恋愛模様にリアリティがあり、自然と感情移入していました。

また登場人物が凄く魅力的。紀乃のツンデレっぽい奥ゆかしさ、藤の宮の天然のほほんでも芯の強い感じなど、それぞれの言動一つ一つに個性が出ていて、つい心の中で励ましたり、心配になったりします。特に紀乃の照れ屋で甘々な反応とか見ていますと、もうブラウザそっ閉じしたくなるくらい、読んでいるこっちが恥ずかしくなります。

平安時代の文化的背景や和歌について知らなくても、純粋にラブストーリーとして引き込まれます。気になってはいたけど、その点で敬遠されていたという方も、ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

まずは豊富な知識に圧倒されますが、敷居が高く感じさせないのは、ヒロインが茶目っ気があって庶民的だからでしょうか。

それでも和歌を詠ませれば、類い稀な才能を発揮して、読者を含め、雅なイケメン貴族たちも魅了してしまいます。

和歌のやりとりも深い知識に裏付けされたもので、平安好きの読者も唸らせるものではないかと思います。

これは非常に優れた逸品です!

★★★ Excellent!!!

時代は違えど、人の心の動きは変わらない。
読んでいてそれを実感できるのは、
描写がしっかりしていて、
それでいて読みやすく書かれているからだと思います。

平安時代の暮らしがとても丁寧に書かれているので、
ページを送るたびに優雅な気分になれました・・・

★★★ Excellent!!!

紀貫之の末裔である紀乃は、名門・久の宮家復興のため、乳姉妹である藤の宮を玉の輿に乗せようと奮闘する。そんな中、自らも宮中女性たちの憧れである殿方から思いを伝えられることとなり……。

平安後期と思われる時代の都を舞台に貴族たちの恋と様々な思惑が絡み合う、純和風ラブストーリーです。

淀みなく流れる雅やかな地の文、一方で会話文は現代風に振り切っていてコミカル。そのバランスが絶妙で、読んでいて楽しいです。また、キャラクターが魅力的。藤の宮にはあれこれ指導するものの、自分も恋愛に関しては経験がない耳年増で、殿方からの求愛に戸惑うばかり……そんな紀乃をどんどん好きになっていきます。

この時代の貴族らしく、思いのやりとりは和歌で行われるんですが、それがまた上手いです。五七五七七に秘められた恋心。その中で季節が巡り、花が咲き、都の空に月が照る。特に緊張感漂うクライマックスは見事。

新春に読むのにぴったりな作品、今のうちにぜひ!

★★★ Excellent!!!

大河ドラマすら観ないほど歴史ものに興味がない私ですが。こちらはとても楽しめました。ところどころ、ドキドキさせられました。

活き活きした登場人物たち、和歌、圧倒的な知識による詳細な描写がベースにあります。これだけでも十分ですが、さらにすごいのは、活劇的な場面の描写! あんまり書くとネタバレしてしまうので書きませんが、とにかく先入観なしで最後まで読んで欲しいなと思う作品です。 





★★★ Excellent!!!

冒頭、清少納言をオバさん呼ばわりする主人公に、「あ、きっとこの小説は好きだ」と思いました。
平安らしくとか、そんなイメージに捉われない主人公。読んでいて、楽しいに決まってるじゃないですか。
それでいて平安時代の描写はリアリティを感じます。
でも、上述したような主人公ですから、時代小説として堅苦しくもなく、とても読みやすかったです。
時代小説が苦手な方にもオススメです。
大人しい主人公ではないので、時にはドキドキハラハラさせられながらも、一気に読んでしまいますよ。

★★★ Excellent!!!

なんちゃって平安風ではなく、衣装や小物、仕草にもこだわった本格派。

勝気で姉御肌の主人公が幼馴染の主人のために、自分のことは後回しにしてまでも奮闘する姿は好感が持てます。

雅で個性的なキャラクター、随所にちりばめられた和歌が世界観を深め、なんだかんだで主人公がモテているのも面白い。

さて、どちらを相手に選ぶのか。
私なら……ですかねぇ。