遠い悩みなのに共感できる

 中学の頃不登校になったことがある。
 原因は円形脱毛症です。頭がそのまんな東のようになって、ハゲとか、アートネーチャーに行った方が良いとクラスメイト全員が私のことを笑いました。反論すると生意気だと思われたのか悪口はドンドンとエスカレート。
 ついには死ねとまで言われるようになりました。
 で、学校にいけなくなった。
 そっから先が更に辛い。
 学校に来ないなんてズルいと、私を追いつめた人たちが訳の分からないことを言い始めた。
 で、人間不信になった。
 高校時代は友達作れないわ、成人するまで接客業もできないわでかなり深刻でした。
 でも学んだこともあります。
 人間なんてちょっとしたきっかけで、少数派やマイノリティーと呼ばれる人々になるということ。そんな人たちがいることも、自分がそうなる可能性があることも『普通』の人たちは自覚すらしてないということだ。
 だから自分たちと違う『非常識』なものに敏感だし、その非常識が実のところ『常識』として認知されなければならないことも分からない。
 何というか、生きている世界がそういう人たちは浅いし狭い……。
 そういう人だって、どこかしら人と違う『非常識』な部分があると思うんだけれど。
 だからだだろうか。本作に出てくるゲイの渚さんや、レズの夏希さんには凄く共感できる。
 自分は同性愛者ではない。でも、2人の何気ない日常を眺めていると、あぁ分かるなその気持ちと思えたり、自分もこんな風に強くなりたいと2人から元気をもらうことが凄くあった。
 たぶん2人が自分と同じ『少数派』の人間だからそう感じるのかもしれない。
 自分は独りじゃないんだなって。
 人と違うことで悩んで、それでも日常を元気いっぱいに過ごすことができる人たちがいるんだなって凄く勇気づけられる。
 『普通』の人たち言いたいことがある。『少数派』も同じ人間なんです。逆に、あなたたちだって見方を変えれば『少数派』かもしれません。
 自分と違う人たちのことを『非常識』と言ったり、『ありえない』と思うのは少しばかりおかしいことだと思うのです。
 『普通とは違う』ひとたちだってその『違う』場所を除けば、『普通の人間』です。
 笑うし、泣くし、怒るし、理解されなくて悩むこともある。
 それはあなたたち『普通の人たち』にも当てはまることではないでしょうか。
 本作を読んで一番感じたことは、そういった『あたりまえ』だけど、『誰も気がつかない』ことでした。
 

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