あなたに名前を
「……久しぶり」
「ってほどでも、無いか……でも、随分待たせちゃったな」
「今更、許されるとは思ってないよ……それだけの事を、僕は君にしたと思ってる」
「……みんなを傷つけないために遠ざけた、自分がこれ以上傷つかないように、倉庫の奥へと押し込んだ」
「都合のいい時だけ、引っ張りだしちゃったな」
「あれから、ずっと考えてたんだ。逃げる為じゃなくて、向き合うために」
「……馬鹿だよな、本当は答えなんて、ずっと前から転がってたのに」
「セフィナは、毒の魔剣を薬として使った」
「ノノは、警戒を解く力でみんなと仲良くしようとしてる」
「──そしてなにより、僕自身が。音で攻撃するウルムケイトの声の魔剣を、話すために使ってる」
「特異性の使い方なんて、人それぞれなんだ。僕が、意識的に……ああいう使い方をした、昔一度起こったことの通りに」
「……今度さ、弟子に剣を作ってやるんだ。最高の一振を」
「虫がいい話だろ、お前を使おうとも思えなかった人間が、だ」
「憎まれて当然だ、そういうことをしたと思う──それでも、もし君がまだ、僕を許してくれるつもりなら」
「名前を、考えてきたんだ。セフィナやノノと一緒に……聞いてくれるか?」
少女と小さな魔剣譚 響華 @kyoka_norun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
近況ノート
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます