木になる女(あらすじ)
おむすびロコロコ
特別な告白
ある男が、ある特別な女に恋をした
学校の裏でそのことを伝えると、その特別な女は下を向いて走り去ってしまった。
男は校舎に向かって歩みを進めたが、辛くなり木に寄りかかった
「ああ……もう死にたい」
と男はつぶやいた
『彼女はこういう事を人に話すタイプではない』
それだけが救いだと男は考えていた
寄りかかったのは、樫の木だった
樹齢は16年程度
その女の名前を『まこ』と言った
同じ地域にある研究所で、
若い女性研究者が報告をはじめた
「今日、まこが学校で木になったようです
同級生の男の子に告白された事がきっかけです」
年配の男性研究者が尋ねた
「どんな男の子ですか、
まこの性質を、まだ知らない人間ですか?
今回の事で、知られてしまいましたか?」
「ばれていません、見られていません
校内は映像が残っています
告白しているところから確認しますか?」
「男の学校での素行は?
個人的には、告白した勇気は評価するが……
まこはどう思っているんだろうか? 好きなのか?」
「そうですね、木になるくらいです」
「……ああ、そうか
告白されて、まこの感情が高ぶり、木になったのは解る
しかし、これから思春期に入っていく事を考えれば、対策は必要でしょう」
中年の男性研究者が話す
「私も同感です
そこで、緊急の対策を決めたいと思います」
「まず第一に彼に対する対応です」
「まこの秘密を打ち明けて協力してもらうか、
彼女には近づかないように処置するか、選択しなくてはならない」
「そのためには、彼がどんな人間か、調査する必要があります
家族構成とどんな思想の持主か、ネットの検索履歴、最近読んだ本・映像
今どんな事に興味があるのか、レンタルビデオの記録も調べてください」
「第二に彼以外学校の関係者にはこの際、全員が協力者になってもらえるよに、
調整を同時に進めていきたいと思います、小・中一貫校からの生徒たちにはすでに協力してもらっています」
関西出身の研究者が話す
「この男は、いいやつやと思う
でも、俺の思春期にこの調査はいややな、もう死にたくなるわ」
そんな感じで、定例会は終わった
この世で唯一の性質である
木になる女
そのまこが普通の生活を過ごせるように、
そして、その性質を観察・分析を続けるために
研究所の所員は定例会を行っている
学校の裏
まこは、恋をした
男にその気持ちを伝えたかったが
できなかった
うなだれるその男が目前で寄りかかっている
さらに感情は高ぶり彼女を木のまま硬直させた
この不幸な男を前に、彼女は幸せを感じていた
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