最初は民謡とか踊りの解説の物語かな、と思うんです。
日本各地には実にいろんな民謡があり、踊りがあり、それを実に楽しく解説してくれているんです。
メインは人に化けたタヌキの紗雪と狐の夏音の交互の語りで、そこに様々な動物キャラクターが登場してきます。
この物語では民謡とか踊りは部活動になってて、彼らはそれらを楽しく学んでいるんですね。
自分の知らない世界を知る楽しみ、そんなものを追いかけていくと、昔から継がれてきた伝統の良さみたいなものが感じられてきます。
同時に移ろいゆく四季の風情なんかがしみじみと染み込んできます。
楽しい仲間とワイワイと踊りながら暮れてゆく日々。
しかしこの二人には秘密があって……というところからまた話が面白くなります。
それは楽しいだけでなく、切なかったり、悲しかったり、優しかったり、でもやっぱり大事な事だったり。
この物語は是非最後までしっかりと読んで欲しいと思います。
ラストで浮かび上がる叙情性あふれる読後感はなんともいえず感動的でした。
まさにこの作者ならではの作品だと思えました。
民謡と民踊、パッと見た感じ同じなんだけどよく見てね、謡(うたい)と踊りの違いがあるわけさ。
で、ここでテーマにしてるのは踊りの方、民踊。
日本人なら誰でも一度くらいは何かしら盆踊りみたいなのやってると思う。
私は父が謡の方の人だったんで、幼いころによく合いの手を入れたりしたものだ。
みんながその存在を知っていて、誰もが一度くらいは踊ってる、だけど案外その歌詞やルーツや地域性は知られていないだろう。
ここではたぬきさんときつねさんがその紹介役を担っている。
とは言え、たぬきの方は「食いしん坊で、オヤジギャグの得意な、天然ボケ」という作者にそっくりな面もあるのだが?
脇を固めるモブキャラが変人(人じゃないけど)だらけでいい味出してる。
特に私の好みはミンゴ先生と王子フェネック。お前何しにここへ来た?
できることならハシビロコウ師匠の踊りをこの目で見てみたい(笑)