夏音と紗雪の約束 -ハッピー民踊部!-

作者 水菜月

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★★★ Excellent!!!

あなたは着物を着たことがあるだろうか。
浴衣を着たことがあるだろうか。
それらを身に纏い、踊ったことは。
この作品は盆踊りに関する様々な含蓄と共に主人公である紗雪と夏音の生活を綴っている。和の情緒溢れる、それらの暮らしの郷愁めいた愛おしさよ。
また彼らは一見、呑気に暮らしているが、重く悲しい過去を持つ。
私はそれでも願う。彼らのこの先の幸いを。今と同じく優しい時が流れることを。

★★★ Excellent!!!

最初は民謡とか踊りの解説の物語かな、と思うんです。
日本各地には実にいろんな民謡があり、踊りがあり、それを実に楽しく解説してくれているんです。

メインは人に化けたタヌキの紗雪と狐の夏音の交互の語りで、そこに様々な動物キャラクターが登場してきます。
この物語では民謡とか踊りは部活動になってて、彼らはそれらを楽しく学んでいるんですね。

自分の知らない世界を知る楽しみ、そんなものを追いかけていくと、昔から継がれてきた伝統の良さみたいなものが感じられてきます。
同時に移ろいゆく四季の風情なんかがしみじみと染み込んできます。

楽しい仲間とワイワイと踊りながら暮れてゆく日々。
しかしこの二人には秘密があって……というところからまた話が面白くなります。

それは楽しいだけでなく、切なかったり、悲しかったり、優しかったり、でもやっぱり大事な事だったり。
この物語は是非最後までしっかりと読んで欲しいと思います。

ラストで浮かび上がる叙情性あふれる読後感はなんともいえず感動的でした。
まさにこの作者ならではの作品だと思えました。

★★★ Excellent!!!

民謡と民踊、パッと見た感じ同じなんだけどよく見てね、謡(うたい)と踊りの違いがあるわけさ。
で、ここでテーマにしてるのは踊りの方、民踊。

日本人なら誰でも一度くらいは何かしら盆踊りみたいなのやってると思う。
私は父が謡の方の人だったんで、幼いころによく合いの手を入れたりしたものだ。

みんながその存在を知っていて、誰もが一度くらいは踊ってる、だけど案外その歌詞やルーツや地域性は知られていないだろう。

ここではたぬきさんときつねさんがその紹介役を担っている。
とは言え、たぬきの方は「食いしん坊で、オヤジギャグの得意な、天然ボケ」という作者にそっくりな面もあるのだが?

脇を固めるモブキャラが変人(人じゃないけど)だらけでいい味出してる。
特に私の好みはミンゴ先生と王子フェネック。お前何しにここへ来た?
できることならハシビロコウ師匠の踊りをこの目で見てみたい(笑)

★★★ Excellent!!!

物語の語り部である夏音と紗雪。

ふたりは人間ではないのですが、可愛らしく人間にとって身近な彼らの正体には、物語の中で出会って頂くとして……


この物語を読んでいると、なんとも言えない心地良さに包まれてしまいます。作者様が使われる言葉のひとつひとつが丁寧で、巡る季節の美しさと記憶の中から消えかけてしまった、過去に見ていた憧憬への懐かしさがそうさせるのでしょうか。

同時に物語に散りばめられた、可愛らしいユーモアも温かいです。


是非、この物語に出会ってみてください。