第1話: 喫茶店DREAM HOUSE改装計画
ベルゼルグの夏。それは感謝祭の季節である。
今年の感謝祭も、平穏とは言い難いが…とりあえず無事に終了し、真夏の季節は過ぎ去った。もう既にリンゴの収穫の時期も迎えており、秋の季節に差し掛かっている。…少なくとも、カレンダー上ではその筈だ。
そう。暦の上では秋だと言うのに、今だに昼間の日差しは強烈だ。今年は残暑が長引いている。もう少しすれば本格的に秋の空気に入れ替わるだろうが…その時期が来るまでは、最近になって駆け出しの街で開発された涼風を発生させる小さな箱の魔道具は意外と需要はあるようだ。
そんな晴れた或る日の昼下がり。
街中でもとある事情で評判の、最近になって占いだか相談所だかも兼業し始めた魔道具店の、屋内で…黒い髪の男性が、前に佇む魅力的な体つきをした女性から、とある相談事を受けていた。
▽▽side KAZUMA▽▽
「どうにかならないでしょうか、お得意様?」
「まかせとけ、これでも感謝祭の元・アドバイザー。お姉さん達の為なら一肌脱ぎますとも。」
という風に軽く答えを返しつつも、内心では引き受けた課題がそこそこ難しいと感じている。依頼主の職業はとある喫茶店の経営者。相談の内容も、屋台のようなポッと出の賞味期限の短いイベントではなく末長く利益を出さねばならない店舗の運営に関する事である。
ここはアクセル、通称・駆け出しの街。大陸の辺境に位置する武装王国ベルゼルグ、その更なる辺境に位置する一つの街である。
市街地は外壁に囲まれており、その周辺には脅威度の低い魔物が多く住み着いている。そして平原で囲まれた街の近くには、山、川、湖、海、砂浜、砂漠など様々な自然環境が少し離れた場所に存在している。つまり地形効果について身近で学んで体験することのできる恵まれた環境ということだ。更には初心者用のダンジョンまでもが封鎖されずに残ってる。
こういう理由がある為に、冒険者を志す命知らずの若者達が此処を第一の拠点として住み着いて、基本的な物事を身体で覚えるのにうってつけの大変に都合のよろしい場所とも言える。それ故にベルゼルグ国内に於いて、駆け出し冒険者の街といえば此処アクセルの事を指す。
似たような街は各々の国々にもあるらしい。だがしかし…このアクセルには他国における冒険初心者が集まる街では観察されないであろう、数々の特徴が挙げられる。
その内の一つとして真っ先に挙げられるのは…とても治安が良いことだ。冒険者達、特に男性の彼らは荒くれ者が多いイメージが付き纏う。その印象はある意味では正しいようだ。
各国で治安維持も兼務する騎士団などの兵力は魔王軍と交戦する最前線…つまりはベルゼルグの事である…この地へと援軍として送られている。このため、他国の治安維持力は幾許か低下している。そのような環境であるならば当然のように冒険者崩れの野盗や山賊などのレアモンスターが発生する。
もともと社会の隅々まで治安の目を届かせるのは難しい。そして何かの拍子で世間の混乱が大きくなれば、その隙間を突いては悪意が跋扈する。世の中とはそういうものである。元いた世界の国々も、この異世界の国々も、そういうところは共通してる。根本原理というものだ。
モンスターが
例えば、隣国に位置するエルロード。彼の国は倒して美味い食べても美味い高級食材カモネギの養殖を手掛けて輸出するなど、商売がとても上手らしい。その分、お抱えの騎士団などの兵力は弱い。その地に住み着く野生のモンスターで脅威度の高い魔物の数が少なかったり、もしもの時の足りない分の戦力は傭兵などで賄えば良いという考えらしいが…兎に角、魔王という人類の敵が君臨している時代に、冒険者崩れのならず者達などが幅を効かせる場所としてエルロードは打ってつけという訳だ。
まぁ、冒険者というのは大抵は収入が不安定である上に、死と隣り合わせの日常を送る事が多い危険な職業である。殺るか、殺られるか。死地を幾度も潜り抜け、実績を積めば積むほど精神をすり減らしていく。歴戦を潜り抜けた冒険者が自然と荒くれ者のような雰囲気を身につけてしまうのも、ある意味では仕方のないことである。
しかし…ここ駆け出しの街たるアクセルは、高レベルである冒険者達が意外にも多くの数で集まっているにも関わらず、とても治安が良いのである。周囲は弱いモンスターばかりなのに、近くの洞窟、廃城あるいは遺跡など、人が住めそうな場所は意外とあるのに何処にも山賊なんか住み着いちゃいない。そして此処を拠点としている冒険者達の心はとても広い。ちっとやそっとのことでは滅多に暴れまわったりはしない…勿論、チンピラだとか頭がおかしい奴などの例外は僅かながらに存在するが。それでも少しのイザコザがあったとしても、大きな事件に発展せずに、大抵は火種が小さいうちに適当な落とし所を見つけて済ます。 とても平和な証拠である。
何故ここまで治安が良いのだろう?
国内において魔王城から一番遠い位置にあり、彼らの手により日常が乱される危険性がとても低い。
街の周囲に生息している魔物は凡そ弱いので駆け出し冒険者でも長閑で平穏な日々を送ることも可能である。
幾つかの要因が、この街の平和な空気を形作ることに関与してるのは間違いないが…この独特の雰囲気を維持する事に最も貢献しているのは、テーブルを挟んでこの俺の対面に座っている、彼女達の存在そのものではないかと、個人的には考えている。
サキュバス。
淫魔や夢魔とも呼ばれてる、悪魔族の一種である。
この街に住み着く彼女らは、人類との共存をかなり真面目に画策し、男性冒険者を対象としたサービスという名の取引を通じて日々の糧を獲得しつつ、人間社会に紛れ込むために必要な最低限の資金を稼いでいる。
健気な彼女達は表向きは喫茶店を経営していることになってるが…あまり目立つことのない裏路地にある事、男性客に特に人気のある事、ウキウキとした様子で店外へと出てきたリピーターにインタビューしても頑なに口を閉ざす事。
その数々の状況証拠から、喫茶店DREAM HOUSEの店内では…アクセルでは禁止されている、性風俗に関わるいかがわしいサービスをしているのではないか…という疑惑が専らの噂であった。
そんな噂を聞きつけたのか、ヤクザまがいの行為で一稼ぎしようと企んだ自称警備会社は話題の喫茶店を傘下に収めて支配しようとした。
その結果。
サキュバスが経営する喫茶店はヤクザもどきによる襲撃という憂き目に遭った。彼女たちは何とか彼らを撃退したものの、今度は更なる天敵と遭遇するなど、トラブルがトラブルを呼び込んで…
最終的に、サキュバス達は水の女神から見逃してもらうことになったと同時に、仮面の悪魔に庇護してもらう事になったのだ。
話を聞けば、
そんな成り行きがあったため、この世界においても彼女達は異次元領主の庇護下に置かれることになったのだけど、その為の上納金を別に用意する必要が出てきてしまった。これまでのところは今まで貯めた幾らかの貯蓄はあるが、定期的に納めるともなれば其の先の事情も違ってくる。
直ぐにでも喫茶店の営業を再開したいものの、店内も荒らされてしまい、改修する必要も出てきてしまった。この為。
一つ、此れ迄の男性客相手のサービスを継続しつつ。
一つ、また似たような輩に同じ様に目をつけられては面倒なので、いかがわしい噂を払拭させて。
一つ、更には新しい稼ぎ口を用意する。
そんな都合のいい方法はありませんかというのが、今回の相談の内容だ。
我が名はサトウカズマ。武装国家ベルゼルグで最も多くの当代魔王の幹部を打ち倒した冒険者パーティーのリーダーにして。女神エリス・アクア感謝祭を盛り上げた影の立役者たるアドバイザー。
自称警備会社のチンピラ共が喫茶店を襲撃した時には防衛に参戦できず、少し負い目も感じていた為、ホイホイと引き受けてしまったが…なかなかの難題であることに苦悩している。
これまでは彼女達が人間社会に紛れ込んで生活できるだけの、およそ最低限の経費しか必要なかった為に、格安のサービス店として人気があった訳だけど…それ以外の経費が出てくるともなれば値上げも選択肢の一つとして挙げられる。
もう既にある程度の財産のある自分としてはそれでも一向に構わないのだが…例えばダストのように彼女らの顧客の全ての懐が暖かい状況という訳でもない。この為できれば現在のサービスの質を維持しつつ、今あるものを有効活用してより良いお金の稼ぎ方が何かないものか、というのが心優しい彼女たちのご希望だ。これら全ての条件を必ずクリアしなければならない訳ではないが、可能ならば達成してほしいんだとか…別に今すぐで無くても良いとは思うのだが。
うんうんと、この屋内の片隅でそんな課題の解決策に頭を悩ませていると、脇から声を掛けられた。
「カズマさん、頭脳労働ご苦労様です。お茶でもお一つ如何でしょう?」
こちらを気遣う声の主に視線を移すと、やや青白い肌をしつつも素敵な微笑みを浮かべたお姉さんがエプロン姿で佇んでいた。お盆の上に用意された茶碗からは、淹れたての紅茶のいい香りが漂ってくる。
「ありがとう、頂くよウィズ。」
お言葉に甘えて差し出された紅茶を受け取って、香りと風味を味わいながら頭脳をリフレッシュさせることにする。そして取り合えずは状況を整理することにする。
ここはアクセルの街にひっそりと佇んだ、とある特徴を持ってる魔道具店。経営者が元々は王都で名を馳せた超凄腕のアークウィザードで、スタイルの良い美人なことで有名であるのだが…その正体は不死者の王たるリッチーであり、更には魔王軍のなんちゃって幹部でもある。
ウィズの淹れる紅茶はとっても
そう、喫茶店と言えばお茶を飲むのが本来の利用法である。利用客が飲食物を頼まない飲食店なんて目の前のサキュバス達が経営しているお店くらいしか思いあたらない。そこで一つ確認してみる。
「そういえば、お姉さん達のお店って一応は喫茶店なんだっけ。実際にお茶とか頼む客はいるんですか?」
「そんなに多くはいらっしゃらないです。席に案内する時にお出しするお冷の他には、かなり拘りのシチュエーションを書き込む方に対してお茶をお出しするくらいでしょうか。普通の喫茶店と勘違いしてご来店した方はチャームを使って成る可く自然にお帰りになられる様にして頂いております」
「あれっ?じゃあ普段の日常の生活って何やってるの?」
「そうですね…午前中はお掃除してたりしますけど…大抵は暇してます。昼間にお店に来られる方も少ないですし。主な業務は昼下がり以降から訪れる方々の、接客の対応から始まります。夜中になると、喫茶店でのお留守番を交代させながら、外回りの皆で食事も兼ねた仕事に一斉に出かける。そんな感じの毎日です。」
「睡眠とかは取らないの?」
「私達はこれでも悪魔なので、眠る必要が無いんですよ。食事もお客様達の感情で済ませておりますし…パンもお水もお肉も野菜も生きる上では必要ありません。私達がお料理を食べるのは、夢の中で食事を再現する時に欠かせないからであって、本当は味見くらいで十分なんです。稼いだお金の大半は、喫茶店のある建物の家賃に充てられます。」
「あの裏路地の建物か…あれ?喫茶店のテナント料だけじゃダメなの?」
「一般市民として戸籍を登録する上で住居が必要なんですよ。従業員として雇う際にも必要書類を作成しなければなりません。私達スタッフは、ルームシェア方式で一部屋に数名を住んでいる形にしております。そのため、喫茶店のある建物の二階以上の居住スペースを丸ごと借り上げています。」
「まじか。結構なお金が必要なんじゃないですか?立地条件はあまり良いとは言えないし、土地の値段もそこまで高くもないでしょうから、建物ごと買ったほうが良いんじゃあ…」
「そういうわけにもいきません。賃貸の方が気兼ねも少なく土地を離れることができるので…いつごろ私達の正体がバレてしまうか判りませんからね。」
「なるほどな…」
「私達の稼ぎの多くは最終的に大家さんの懐に納められます。残った分の多くも悪魔の気配を誤魔化す為の香水や、アンケートの記入用紙やペンやインクなどの消耗品、割引チケットの印刷代、あとは消臭剤を含んだ掃除用具…こういった物品の購入費用に充てられます。飲食店として経営するために、最低限の食料品の仕入れはしておりますが…ある程度に保存の効く食料品や料理の素材に調味料、後は適当な量の砂糖とお茶を業者を介さないで購入するくらいですね。」
「厨房とかはあるんだっけ。」
「一応は。でも普段はお湯を沸かすくらいにしか使いません。火をあまり使わないので火災の心配は大きくありませんが、保健所の査察などもありますので…万が一の時のための避難誘導経路もしっかり確保しています。職員用の通路にも荷物なんかは置いてません。飲食店の認可を得るために御手洗いも完備しています。食材を補完するための倉庫や魔導冷蔵庫も備え付けられていますが…あまり使わない食材や重曹が積まれてたり、冷えたお水があるくらいです。」
「意外と何でも揃ってはいるんだな。その分だけ家賃は高そうに聞こえるけれど…」
「そうですね。飲食店を経営する為に必要な設備を揃えた物件を用意するのは大変です。私達のお店が裏通りにあるのは少しでも家賃を安くするためでもあるんです。他にもクリアするべき条件もありまして…店員みんなが調理師免許なども取ってはいるんですよ。」
かなり本格的である。
「市民登録の際の戸籍上の種族はどうしてるんだ?」
「耳も尖っているので、エルフということにしています。長命種なので、長い期間を同じ場所で留まっていても不自然が無いですし。」
人間と共存する意思を持っていたとしても…その気になった冒険者やプリースト達に簡単に退治されてしまう小悪魔が人間社会に隠れて暮らすには、中々に大変な苦労をしていることがわかってくる。
この世界では悪魔族が人里で、悪魔として堂々と暮らしていくのは難しい。そんなコトができるのは…この魔道具店のバイトである元・
今になって思いかえして見てみれば、駆け出しの街である筈のアクセルの街はとても特殊な環境にある。
以前より小悪魔とリッチーが個別で店舗を経営しながら隠れ住む。去年の夏から水の女神にデュラハン、地獄の公爵が次から次へと訪れた。その間には北西より迫り来た破壊の権化がすぐ側で破壊された土地でもある。つい最近ではアクア感謝祭の初開催の場所となり、更には女神エリスまでもが降臨したとも言われてる。駆け出しの街らしからぬ、余りに多くのイベントがこの一年間を駆け抜けた。
其のいずれの出来事にも深く関わった自分から、今までの日々に対して総括しながら一言述べるとするならば。
まったりとしたヌルくて平穏な日常をゴロゴロしながら送りたい、そんな希望を持つ我が身としては、騒がしい事この上ない。
まぁ、この街を拠点としている、魔王の幹部の半数を打ち倒した冒険者パーティーのリーダーたる自らが言えた義理でもないのだが…それでも今までの一連の出来事の殆どは流れに身を任せた結果だし。自ら勧んで討伐したのなんか、精々がデストロイヤーくらいなものだろう。
この異世界に来てからの今までの出来事を振り返り、数々の思い出を懐かしんでいると、チリンチリンと鈴の音が鳴り響いた。魔道具店の扉が開いたのだ。珍しい事に来客のようだ。
「こんにちわー」
「いらっしゃいませー…あら、ゆんゆんさんじゃないですか。今日はどうされたんですか?」
「今回も練習です!幼馴染の住む屋敷に遊びに行く練習です!先ずは友人の家に何度も訪問する事で慣れておこうかと!歓迎される事で嬉しさのあまりにショック死するとご迷惑をおかけしますので!」
…なんていうか、重いな。
いつの間にかすっかりと、この店の常連になっていた、出来る方の紅魔族の少女が訪れた。
「ウチは中に人がいれば大抵は開いてるよ。というか、この前は屋敷に駆け込んで来たじゃないか。さらには玄関で、子供を作ろうとか叫んでいなかったっけ?」
「カ、カズマさん!?こんにちわ!あの時の事は忘れてください!サキュバスのお姉さんもお元気ですか!?」
軽い弄りに慌てて応えるゆんゆんは、先客が2名もいた事で、大きく混乱しているようだった。
しかし、今の返事で分かったこともある。
どうやらこの紅魔族の少女は既に喫茶店の経営者の、その素性を知った上で知り合いであるということだ。そして何故かは知らないが、何処ぞの紅魔族と違ってサキュバスだからと言う理由で一方的に攻撃しようという訳では無さそうだ。それでも彼女は紅魔族。戦闘民族の、それも長となる予定の娘である。少し気になったので、小声でサキュバスのお姉さんに確認してみる。
「お姉さん、なんだか素性がバレてるみたいですけど大丈夫ですか?」
「私達にとって女性は天敵ですけれど…あの方はバニル様の御友人なので、たぶん大丈夫でしょう。口止めもしてありますし。『バラしたら折角の友達が減るかもなー!』とか言われて涙目で青ざめていましたよ。」
あの仮面紳士はやっぱり悪魔なんだなぁと思うと共に、ゆんゆんの交友関係が気になってきた。彼女の友人と言える人物は、人間よりも人外の方が多いのではないだろうか。
そんな思考に耽っていると、スタイルの良い紅魔族の少女に椅子を勧めた熟練のアークウィザードは、なにやらウキウキした調子で言葉を紡ぎながらお店の奥に引っ込んだ。
「今日は久々にお客さんが多いので嬉しいです!張り切ってまた熱いお茶を淹れてきますね!」
…客というのは商品を買っていく、或いは買わなくても最低限は物色していく者を指し示す単語だと思うのだが。
というか3人で多いって、普段はどれだけ客が少ないんだよ。意外と寂しがり屋なのだろうか。
アクアが常日頃からお茶を飲むためだけにこの店に訪れるのを、嬉々として接待するのも…暇を持て余してるだけじゃなく、人と触れ合いたいからだったりするのかな。
アークウィザードは自然と孤高になってしまう隠れた習性でもあるのだろうか?
隣に座った、年齢の割に豊かに育った肢体を持つ紅魔族の少女も何故だかぼっちだし。
そういやオレの同居人である紅魔族も、加入した時は余所のパーティーからハブられてたんだっけ。…その理由は彼女の特殊なスキル構成にあると思うのだが。しかしエリス教会の炊き出しも受けてなかったみたいだし、やっぱり性格にも問題がありそうだ。
紅魔の一族は身内同士で寄り添って里の中で引き籠ってるし。
今までに出逢った知り合いの、普通のアークウィザードで周りに人が多そうだったのは…アイリスの教育係の、地味目な女子で…確か、レインとかいう名前だったっけ。まぁ、彼女くらいか。
俺の知ってる紅魔族以外のアークウィザードで唯一の男性だったキールも、知り合いが少ないからこそ妾とはいえ一国のお姫様を攫うという無謀な行為に走ることが出来たのだろうし…
そんな風に、今まで出会った高位の魔法使いの習性について考察していると、再び紅茶の芳しい香りが近づいてきた。
「お待たせしました、ゆんゆんさん!茶菓子も持ってきたので是非とも召し上がってください!」
そう言いながら、熟達の魔法使いは自分を含めた皆の分のカップに紅茶を注ぎ、紅魔族の少女の対面の席に腰を下ろしたのだった。
…店主が勧んで店番サボるとか良いのかよ。
内心でそうツッコムも…大抵の店主という人物は、常日頃は店番などの表の仕事には出ないで店の奥で引っ込んでいる、そういうものだ。そうして、バイトをこき使いながら予算がどうのとか最近の流行りは何かなど、店の経営についてアレコレ考えるのが本当の仕事の筈である。
実際の店の経営についても、彼女を友人と呼ぶ、立場上はバイトである元・魔王の幹部が切り盛りした方が利益が出るのは間違いない。
あの仮面の悪魔は最近になってから相談屋という新しい商売も始めたようだ。初めの内はギルドの一角を間借りしていたのだが…評判になった近頃は主に魔道具店で引き受けることにしたらしい。客寄せパンダとしての目的も兼ねているのだろう。
平時は執事っぽいタキシード風の、白と黒が基調となってる紳士服の装いで…更には奇妙な仮面を好んで顔につけてる所為で、上から下までモノクロトーンな大悪魔をパンダと呼んでしまうのは…大体あってる、とも言えなくもない。今度アクアと一緒にパンダとバニルの違いについて議論してみよう。こういう下らない議題について論じ合うのはアクアに限る。この異世界の住民に対してパンダという概念が通じるのかもちと怪しい。こういう元いた世界のネタは女神達にしか通じない…そういう意味では自称女神にも感謝している。
ただし…清楚で純情である後輩女神とは異なって、あの先輩女神は普段の脳みそで何を考えてるのか良くわからん。
高級シュワシュワを片手に持って偶に部屋を訪ねても、余分に用意したコップにも注いでからぺちゃくちゃ話を始めるし…そして、ふと気がつけば余分なコップの中身は空になっている。新しい宴会芸か何かだろうか?
あるいは…この屋敷に住み込む時に宣っていた、貴族の少女の幽霊が飲んでいるのだろうか?未だに霊体が酒を飲む原理が良くわからんが、本当に危険は無いのだろうか?高級シュワシュワ飲ませることで、ちびちびと経験値を貯めていき、レベルアップしてたりしないだろうか?
屋敷に投棄されたパンダもどきの抜け殻や、ウィズに以前に造ってもらって仕方なく引き取った美少女メイドゴーレムの試作品など…動かないはずの等身大の人形の、姿勢が微妙に変わっている気がするのは…本当に気のせいなんだろうか?大悪魔の抜け殻に憑依することで、悪霊化してたりしないだろうか?アクアによれば、その内に満足して成仏するとの主張だが…何か問題が起きる前に浄化したほうが良いんじゃなかろうか?
人形の一つの造物主であるパンダもどきは…今は姿は見えないな。店の奥で倉庫の管理でもしているのだろう。
この一風変わった魔道具店では、店主とバイトで肩書きと役割が逆転しているが…実際の経営を担う上では今の形がピッタリと言えるだろう。
目の前でニコニコしながら紅茶を啜る魔王の幹部は、とても心優しい善良な性格であるのだが…働けば働くほど貧乏になるという特性をもっており、真っ当にお店の経営をやらせるよりかは、看板娘として働かせたほうが向いている。エプロン姿なんか、とっても良く似合ってる。この前の暑い真夏日なんかは薄手の夏服を着ていたし…もっと、お洒落とかすれば良いのにな。
そんなことを考えながら彼女を眺めていると、茶菓子を勧めてきたので素直に受け取った。序でに少し前から気になっていた疑念について問うてみる。
「そういやウィズ、この前のエリス祭コンテストでもお店が赤字とか言ってたけれど、どういう事だ?オイルライターの時は繁盛してただろう?お客はアレから来ていないのか?」
「オイルライターの評判が良くて、売りに出した直後はお客さんがたくさん来たんですけれど…耐久性が高すぎるので、二つ目以降を買う方が中々いらっしゃらないんですよ。燃料なんかは他のとこでも買えますし…売れるのは精々が交換用の成型されたフリントくらいですね。あとは、取扱説明書を良く読まずに穀物油で燃料を代用できないかと考えて壊した方が2個目を買われるくらいです。抱えた在庫を他の街へ卸すことも考えなければいけないんですけど…そのための依託費や輸送費などの資金も無い有様で…」
そうなのか。商品の出来が良すぎるのも考えものだ。
「足元が整ってないダンジョンや洞窟探索の際の灯りとしても、松明やカンテラの方が優秀です。それらに火をつける道具としての使い道はありますが…ウィザード職の方は初級魔法を覚えることでティンダーが扱えますし。スキルポイントを1つ消費するだけで、生活レベルを向上させる魔法を燃料要らずで使えるんですから。彼らにとっては、オイルライターよりかは初級魔法のほうが魅力的でしょうね。」
「そういやウィズもアルカンレティアで初級魔法を使っていたっけ。リーンが通っていた魔導学院では初級魔法は覚えるだけ無駄とか言われていたけど…ウィズは違う意見なの?」
「最近の魔導学校ではパーティーを組む…つまり後方支援や遠距離攻撃を前提とした立廻りを中心に物事を教えてますからね。初級魔法も使う相手や状況、組合せによっては戦闘に取り入れて活用することは十分に可能ですけれど…射程が短いので、前衛職並みに近付く必要があるんです。指輪タイプの触媒を用いて出力を向上させたとしても、それなりの近接戦闘がこなせる感覚や才能が求められますね。人間相手なら兎も角として、魔物の多くは歯牙による噛み付き、角や爪を用いた引き裂き、握撃など致命的な攻撃をゼロ距離でも行ってきますから…初級魔法を取り入れた戦闘行為が危険であるのは間違いないです。攻撃補助や牽制とし て初級魔法を上手く用いて隙を作り、此方に有利な態勢に持ち込んで、次の一手で確実に致命傷を与える。こんな行動をするにしても…やはり一対一が理想的な状況ですね。」
「そういやウィズはバニルとタイマンで死闘を繰り広げた事もあるんだっけ…ウィズは近接戦闘も意外とこなせる魔法使いだったりするの?」
「まぁ、一応は。現役の頃は本職には及びませんが…今では触らないと使えないスキルも覚えているので、頑張って更に鍛えました。冒険者稼業において仲間の絆も大切ですけど…仲間に頼ってばかりでは、いざという時に共倒れですから。ある程度は一人で立ち回れる技量も必要です。紅魔族の学校では格闘技能の教育もしっかり行ってると聞きました。ゆんゆんさんは短剣も扱えるようですし、体術なんかは得意であるとお見受けします。」
そう言って、視線とともに出来る方の紅魔族へ話題の種を送ってみると、少女はウキウキとした口調で言葉を紡ぎ始めた。
「はい。紅魔族は魔力を使って身体能力を向上させるスキルが備わっていますので、格闘技能の習得も必修科目となってます…それでも流石に魔物相手では距離を取ることを優先して教わりました。初級魔法を牽制に使って近接戦闘をこなすなんて初耳です。」
「そうですか。まぁ、無理して前衛に出なくても…普段を過ごす日常の生活レベルを向上させる手段として初級魔法はこの上なく優秀ですよ。」
確かに。この前なんかは居室の温度を下げるために大量の氷を作成したし…アクア祭りの屋台では、カキ氷用の氷塊も作ったな。
「例えば少し古いタイプの冷蔵庫。今は量産体制が整った魔導冷蔵庫が出回ってるので街ではあまり見かけませんが…中を冷やすための氷を用意するのにも、クリエイトウォーターとフリーズがあれば便利です。」
…元いた世界の、電気冷蔵庫が出回る前の氷冷式の冷蔵庫か。どこの世界でも考えることは一緒だな。
「魔導大国ノイズが栄えた時代に色んな魔道具が開発されて、大陸の国々の文明が急激に発達したらしいのですけれど…デストロイヤーの暴走により自滅した結果、失われてしまった沢山の知識や再現不能の技術が大量にあるそうです。その時期に品種改良が行われた農作物や畜産生物は持ち前の生命力で生き延びることができたようですが…魔道具や設計図などの資料の殆どは破壊されてしまったみたいです。僅かに残った遺物の中には、文化の違いの所為で当時の世間では流行らなかったけど…今では見直されている便利道具もあると聞き及んでます。」
「そういや以前に調査した遺跡にはコタツがあったんだよな。あれもその時代のものってことなのかな。」
「そうかもしれませんね。ノイズが滅びてから失われた技術については紅魔の長の御息女である、ゆんゆんさんがとても詳しいんじゃないでしょうか?」
「…すいません、故郷では主に友達づくりのための参考書を読みふけって居たので、その辺りについての勉強はしてないんです…」
「そうだったんですか。ゆんゆんさんは友人が多そうで羨ましいですね。バニルさんともいつの間にか仲良くなってましたし…あ、お茶のお代わり如何ですか?」
「いえ、そんな!私なんか其処まで友達は多くも無いですよ!バニルさんの友人作りの方法がとても上手なんですよ。」
「ウィズはアクセルにそれなりに長い間いるようだけど、友人は少ないのか?」
「そうですね…友人と呼べる親しい仲の方は数少ないです。それに、未だに自治会に馴染めてない気がするんですよね…やっぱり背が高いので、立ち上がると大抵の方を上から見下ろしてしまう形になるのが威圧的に見られてしまうのでしょうか…」
周りから見ても高めに感じる自分の身長を気にしていたのか…まぁ、大きいのも小さいのも平等に愛する事が出来る、アクセル随一の冒険者たる俺にとっては些細な事である。
俺の好みのタイプは胸が大きくてスタイルが良い、髪はロングのストレートのお姉さん。そして何より重要なのが、日頃は家でゴロゴロしてる自分を甘やかしてくれる女性である。
ウィズはそう言った意味では外見も性格もストライクゾーンにかなり近い。しかし…バニルの苦労を見てみると、ウチで飼ってる駄女神以上の赤字生産能力を有していると聞き及んでる。あの悪魔が必死に稼いだお金が貯めてある金庫に鍵を掛けたとしても、魔法で勝手に開けてしまうそうだ。俺のように銀行に預ける訳にはいかないのだろうか?もしも彼女と一緒に暮らすとしたら、今以上に働かなければいけないだろう。流石に其れは勘弁したい。そもそもアンデッドに寿命は無い。そういう意味では老後の心配は無いのだろうが…彼女を独りで取り残すのは流石に可哀想だろう。
そんなウィズにはピッタリな、妙に人当たりの良い紳士な悪魔が相棒としては適任だ。人畜無害な悪魔と不死者。とても良いコンビだと思う。だから仮にも女神であるアクアも彼女たちを見逃しているのだろう。そんな彼女と接するには…今回のように偶に遊びに来て世間話をしてみたり、あるいは遠巻きから眺めるのが立ち位置としては一番いいだろう。
…それは、俺の仲間たちも同様か。
オレのパーティーメンバーは、見てくれだけは確かに良いのだ。それは認めよう。ただ…口を開けば、やれ爆裂だの、アクシズ教をお願いしますだの、激しい責めをお願いしますだの…中身が少し…というか、かなり残念なのである。
特にダクネス。見た目だけはパーフェクトだ。肩書きも良い。貴族なのでそこそこの権力も財産もある。しかし…ドMな性癖がメンドくさいし、以前に聞いた好きな男のタイプもメンドくさい。更に言えば平常時は頭にドのつく変態なのに、偶に覗かせる乙女な面とか貴族の立場が如何のとか、本当にメンドくさい。
彼女の持つ二つの姿…ド変態と貴族令嬢という両面の、何処に線引きがあるのか未だにハッキリとは判らない。冒険をしている間はただのドMな変態だから未だマシだが…それ以外の日常では、いつどこでどちらのスイッチが入るのかよく判らん。
あいつの将来だけは全く想像がつかないな。ちゃんと領主の立場を引き継 げるのだろうか?ドMな性癖は死ぬまで残るのだろうか?心配の種は尽きないが、あまり深く関わるのもメンドくさそうだ。そもそも無事に五体満足で冒険者を引退できるのだろうか?クエストの最中で性癖を優先させて、任務の放棄とかしないだろうか?もしそれが原因で事件になったとするならば…無事に解決したとしても、残念程度では決して済むはずがないだろう。
他の2人も、ダクネスよりまだマシな程度で判りやすいというだけで、残念という事には変わりはない。いまオレの目の前にいる、ゆんゆん、ウィズ、サキュバスのお姉さん…彼女達のようにキャッキャウフフと女子トークをしているのかと思えば、会話の中身が残念な事がよくあるのだ。
やっぱり女子は眺めているのが一番だ。何喋ってるのかよく判らないけど、遠巻きから見つめて笑顔を綻ばせている姿を愛でる。そんで、理想のシチュエーションで夢を見せてもらう。現実と理想が乖離するのは良くある事だ。現実に其処まで腹をたてる訳にはいかんだろう。それなら夢の中だけだとしても、理想を体感するのには大きなバチは当たらないだろう。…まぁ、できる事なら声だけ聞かずに、笑顔を輝かしている美少女の息遣いなどを間近で堪能したいという願望も無くはない。魔法が蔓延る異世界ならば尚更だ。
…あれ?確か俺の故郷の都会では、似た様な商売があったような…確かあれはマジックミラー越しで女学生がたむろってる隣室を覗いて指名するんだっけ…実際には見たことないが、そんな話だった気がするな。マジックミラー、魔法の鏡…原理はよく判らないけど、確か比較的ここ最近に何処かで似たものを見たような…何時だっけ…
ああそうだ、前の領主が所有する、王都の別邸で見たことが…
こ、これだ!
突然の閃きに任せて勢いよく立ち上がり、ぎょっと瞼を見開いた目の前の女子達の視線も憚らず、店の奥へと顔を向けて大きな声で叫びをあげる!
「おいバニル!ちょっと来てくれバニルさん!バニえもん!バニえもーん!」
そう叫んだ次の瞬間。
電光石火のひと時に、旋風を伴ってパンダもどきが現れた!
「喧しいわ小僧!いきなり何だ、藪から棒に。それから大悪魔である我輩を、そこに居るネタ種族の如き妙な名前で呼ぶでない。我ら悪魔族にとって名前はとても大切なものなのだ。」
「だからネタ種族と呼ばないでくださいってば!」
「ゆんゆんがネタ種族なのはしょうがないとして、儲け話だ!サキュバス達の喫茶店で、この街の男の冒険者達からだけでなく、色んな人からお金を落としてもらう、更には従来の利用客からも、もっとお金が落ちるかもしれない!そんな名案が浮かんだんだ!」
「ほう、詳しく話を聞かせてもらおう」
「ただ、この思いついた案にはとある魔道具が必要でな、その辺りの知恵をちょっと貸してくれ!」
「魔道具ならば其処のなんちゃって店主に相談して貰えば良いではないか。意外とミーハーでな、良く解らん新商品が記載されたカタログを眺めては直感でサンプルを取り寄せたり碌に相談もせずに勝手に仕入れて倉庫の在庫スペースを埋めて行く、その一連の作業だけが得意であるぞ」
「バニルさん、それって一応は私の事を褒めているんですよね?ですよね?」
「ウィズが美人だけど少し欠点があるのは解ったけれど、今回の儲け話にはなんと言うか、女性視点ではなくて、男性視点あるいはオトコの気持ちがよく分かる恋愛事情にそこそこ詳しい小悪魔的な女性の視点が必要で…兎に角そんな欲望を忠実に叶えてくれる、そんな魔道具が必要なんだ。詳しい事は店の奥で…お姉さんも一緒にお願いします」
そうして悪魔2人を引き連れながら倉庫スペースに移動して、紙の上に簡単な図面を引きつつ小さな声で企みを明かしてゆく。
「ふむ…ふむ…喫茶店のスペースを二階まで広げると?」
「ああ、そして二階は2つの部屋を使ってそれぞれ専用スペースにしてしまう。一方は女子会スペースで、もう一方は男子会…というか従来のアンケート記入を兼ねたスペースだ。一階の方は、そうだな…厨房と会計、そしてカップル席にでもすれば良い。女子会部屋とカップル席には普通の喫茶店のメニューだけを置いておく。そして美少女達に他人の目を気にする事なく甘いスイーツや麺類を口に運んで貰うんだ。」
「二階の各部屋を仕切る壁に魔道具とありますが、どんな魔道具が必要なんです?」
「其処が問題なんだ。以前に前の領主の別邸で、隣の部屋の様子が覗ける鏡みたいな魔道具を見たことがあるんだけれども…其れを一面に男子スペース側にだけ置きたいんだ。でも、流通してるかどうかは知らなくて…特注品だったりしないかな?」
「それは警察機構で良く用いられられてる魔法の鏡の魔道具だな。流通は制限されてはいるが…ツテはあると言えばある」
「えっそうなの?」
「取り調べの際に別室に待機しているお偉いさんが様子を眺めるのに使うそうですね。冒険者を引退して警察職員に転職した方々が偶に口にしております。其れを使ったプレイを希望されるお客様も居りますが…」
「そうなんだ。プレイの内容は後で詳しく聞かせて下さいお願いします…話を戻すとその魔道具を使って男子会スペースの方々が女子会スペースの様子を覗ける様にしたいんだ。」
「…?小僧よ、それに一体どういう意味がある?普通に眺めるだけではダメなのか?」
「美味しいものを食べて至福の表情を浮かべる女性は魅力的だけど、他人がじっと見つめるのは失礼にあたるだろう?まぁ人目も憚らずそういう事が出来るオレは気にしないけど、欲望に忠実な一方でチキンでシャイな性格の男性は顔を向ける事すら出来ないと思うんだ。女性は他人の視線に敏感とも言うからな。そんな彼らが心置き無く女性を眺める機会を作り、アンケートに記入する夢で求めるプレイでより具体的なシチュエーションを描く際の参考にしてもらう。そう言うことも出来るんじゃないかな?」
▼▼この素晴らしい喫茶店に良い夢を!(仮)Tips▼▼
・幽霊少女アンナちゃん
屋敷の幽霊少女アンナ・フィランテ・エステロイド(以下アンナ)は所謂ゴーストに位置するホーント系アンデッドのようですね。ゴーストの涙をドロップ?するようです。
屋敷の幽霊騒動の際に、悪霊達は人形を動かしていました。2期11話によるとゴーストは人形に憑依して動かすことが出来るようです。おそらくアンナも出来るでしょう。我が二次創作の設定では、アクア様が度々お酒をお供えしています。
おそらく高級シュワシュワにも経験値が沢山つまっているので、アンナもゴーストの身でありながらレベルアップして、母親の面影を重ねたメイド型ゴーレムへの憑依をチャレンジしています。彼女は貴族とメイドの間に産まれた憐れな隠し子なんですよ。
美少女メイドのゴーレムは8巻の電子書籍の特典でカズマがウィズに頼んで造らせました。爆裂魔法一発分で半日程度しか動かせないそうです。明らかにガラクタ扱いされていますけど…カズマは責任持って試作品を買い取りました。言い出しっぺだし。幾らでも金を出すとも言ったし。無駄に広い屋敷なので何処かに倉庫スペースがあってデンドロメイデンと共に眠っていると思います。
因みにアンナ嬢。我が二次創作では前日譚の中でアクア様の手によって浄化されてます。改めて描写する予定もありますが…来世にて、とある場所に転生するのをお頼みする目的で、ある程度の融通が効きそうなエリス様にお会いするためにアクア様の本気の浄化を希望します。病気で死んだ人間はエリス様の担当からは外れているかもしんないし。アンナ嬢も二次創作内での重要キャラクターなんで名前の項目に追加しておこう。
この素晴らしい喫茶店で良き夢を!(仮) hiromi2号 @hiromi2
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