第3話

 俺と妹、ミトは、別の練にある職員室に向かっていた。

「ミトのお姉ちゃんって、どれくらい強いの?」

「ん~学園長と教頭を抜いたら、教師の中で一番じゃないかな?ワタシ、お姉ちゃんが負けてるとこ見たことないし」

「さっき負けてたのは?」

「多分3年生のパシカさんじゃないかな?副生徒会長なんだけど、負けん気が強くて、よくお姉ちゃんに挑戦してるから」

「生徒会長は?」

「会長は、力より頭で勝負する人だから、授業中に先生の間違いを指摘して、よく困らせてるらしいよ」

「お兄ちゃんと同じだね」

「おい、俺はそんなひねくれたことはしてないぞ」

「だよね。そもそも学校に行ってないもんね」

「お前もだろ!」

すると、急にミトが笑い出した。

「2人って本当に仲良しだね」

そんな会話の中職員室に着くと、ミトは迷いなくドアを開ける。入り口に割と近い所に、ミトの姉の机はあった。机のネームプレートに、ニカ・アレイアと書いてある。そういう名前なのか。

「お、よく来たな。ん?その2人はさっきもいたな」

「うん、この2人のことで相談があるの」

俺も?ヒメの入学のことだけじゃないのか?俺たちは、隣の部屋に入り、それぞれ椅子に座る。

「で、相談って?」

「まず、こっちのヒメ、ここに入学するみたいなんだよね」

「そうか、いい友達ができそうだな。仲良くしろよ」

「うん、で、ヒメのお兄ちゃんのヒロなんだけど」

俺がなんだ?

「お姉ちゃん、補助教師が欲しいって言ってたよね」

ここは一年の教室。新入生のほとんどが席に着いているが、1つだけ席が空いている。そこに、3人の人間が入って来る。

「さて、新入生の諸君、すでに知っているかもしれないが、私は実戦科の担当兼、君たちの担任、ニカ・アレイアだ。そして、君たちの知らないであろう顔を2人程紹介する」

そして1人の少女が前に出る。途端にクラス内の男子がざわめきだす、女子も数人ざわめく。

「君たちのクラスメイト、ヒメだ。男子共、見た目に騙されて下手に手を出そうとするなよ。こいつはこう見えて、結構な強者だ。」

少女が空いている席に着く。後ろの席に座っているのは、担任の妹だ。

「次に紹介するのは、私の補助をしてもらう、この冴えない男だ」

そして前に出るのは、俺だ。どうしてこうなった。遡ること数日前。

「お姉ちゃん、補助教師が欲しいって言ってたよね」

「確かに言ったが、それがなんだ?」

「ヒロを補助教師に採用したらどうかなって」

「俺やだよ」

「私も断る」

「私はお兄ちゃん先生に賛成!」

「おいヒメ、そんな学園マンガのタイトル考えるみたいなノリで、兄を推薦するな!」

「いいじゃん!『お兄ちゃん先生』!」

「俺は学園マンガは好きじゃない‼」

「お前たちは何を言っているんだ?」

「この2人はね、ワタシが見つけた時、学園内にいたの」

「何!ということは」

「うん、そうなんだよ」

「えっと、何が?」

「この学校の入口ゲートはな、学園の教師か生徒しか通れないんだ」

「でも、学園にとって必要な、強い力を持つ者は、ゲートを通れるの!」

「つまり、お前たちは学園に認められし、力の持ち主ということだ」

いえ、違います。時計塔に開いた扉を通ってきたから、ゲートを通ってないだけです。

「そういうことなら、しょうがない。しっかり手伝ってもらうぞ」

え~。マジですか。そして、今に至る。

「どうも、アレイア先生の補助兼、皆さんの副担任を務めさせていただきます。ヒロです。よろしくお願いします」

本当に、どうしてこうなった。

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