先ず『事あるときは幽霊の足をいただく!』というタイトルが印象的。
作者さんのセンスが光っていると思う。
本屋の棚で見かけたら、絶対に手に取ってしまうほど気になる。
作品タイトルから受けるインスピレーションというのはとても大事で、自分が読もうと思ったのもタイトルが「美人さん」だからだ。
内容は日常と非日常の対比の妙と、主人公と主人公に取り憑いた怨霊との掛け合いが最大の見所かなと思いました。
文体は一人称で読みやすく、主人公を取り巻く描写が丁寧に描かれていて気持ちの良いもの。ストレスフリーで読み進められます。
言葉遊びなども所々に配置してあって、クスリとした笑いのスパイスが効いているのも楽しい。
生活感溢れる描写も見事。
直情型の主人公と的外れな言動をする怨霊との会話のやり取りが面白く、この作品の魅力になっています。
読んでいて頬が自然に緩んくる妙な愉快さがある。
特に怨霊がボケで真がツッコミ。所により逆、みたいな(笑)
このポジショニングの入れ替わりが面白い。
読み始めれば物語はスイスイと進んでいくので、とにかく一度目を通してみてください。
連載中の作品なので、これから物語がどのように転がってゆくのか楽しみになりますよ。
主人公の前に怨霊が現れます。
現れますが、この怨霊、なんだか色々ヘンです。
サムライらしいのに、
現代語でやたら気さくに話しかけてきます。
主人公のご先祖に恨みがあるらしいけれど、
その恨みだって、どうやら単純でわかりやすい負の感情ではなく、
なんだか色々な想いの混ざった複雑な恨みであるご様子。
そんな一癖二癖とある怨霊が出てきて、
さらにコメディと銘打っているのですから、
これはもう笑えるに決まっています。
実際に怨霊さんは本編で大暴れしていて、とても魅力的なキャラクターです。
将来死んだら、こういう素敵な怨霊になりたいと思いました。
そのために今世を一生懸命に生きようと思います。
私の将来はともかくとして、
この素敵な怨霊さんと主人公は、なんだか物騒な事件に巻き込まれていきます。
一体どんな真相が待っているのでしょう?
一体怨霊さんは事件の中でなにをやらかしてくれるのでしょう??
コメディだけではない、物語の深部が徐々に姿を見せて、どんどん引き込まれていきます。