熟れた太陽

作者 安室凛

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★★★ Excellent!!!

橙、黄金、藤、飴色、白。様々な流れ行く光の移ろいを、どこか儚くも丁寧にしっとりと描写している。
それはまるで、どこか太陽に対する敬意があるような、淡く輝く光そのものを抱きしめているような、そんな温かい言葉達の産物であり、読者になんとも満ち足りた感覚を提供してくれる。

★★★ Excellent!!!

夕暮れの、空が橙や黄金色に染まる時間はほんのわずか、まさに刹那の時間。

やがて訪れるであろう群青色。

その水平線から太陽が昇る時、それは新たな本のページを開く時。

紡ぎ出される言葉に時間の感覚が絶妙な加減で乗せられていて、短いながらも文学の良さと面白さが詰まった素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

線香花火の球ってさ、落ちるとき「じゅっ」って言うだろう?
え、言わないか? 
よーく耳を澄ませてごらん、ちゃんとそういう音がしてる。

それと同じ音が聞こえるんだよ。
海に夕日が沈むとき。

じゅっ。

その音がするときの夕日は決まって同じ色なんだ。
線香花火の球の色。
熟れ過ぎた柿のように少しだけ透明感があってね。

おや、もうこんな時間かい。

★★ Very Good!!

 ふと幼い頃の自分を思い返しながら、黄昏の中で本をゆったりと読む老人の姿が穏やかな筆致で描かれた作品だと思いました。本を読むことが昔よりゆっくりになったという彼の姿からは、本への静かなる愛と、人が沈みゆく太陽のようにゆったりと年を刻むという事実が込められているような気がします。
 関係ないですが、タグの眼球疲労に少しだけ笑いました……。