人形の罪は人の罪――生かすも殺すも人間次第

人に買われたその人形は、人の言葉を解し、話し、痛みを感じる生きた人形。
その人形を買うときに、一枚の契約書に署名する。

後に人形師は探し求める。自らが売った人形たちの行く末を見るために。
そして見る。数多の契約違反に晒されながらも、買い主に逆らうことなく従い続けるその姿を。

初めは人形を救いたかっただけだった。だが、その感情が行動が悲劇を生んだ。

罪を背負った人形師は、同じ過ちを繰り返すまいと壊れかけた人形の元へ――

人形に罪は無い。悪しき思いを抱きしは人間。

自分もその一人だと戒めながら、人形師は美しき人形と共に旅をする。
善も悪もなく、ただ純粋に買い主の命に従う人形たちの生き様を胸に刻むため。

これは、そんな物語。

詩のように綺麗な言葉で綴られた残酷で美しい物語。是非ご一読を。

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