人形師は祈らない

作者 夢見里 龍

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★★★ Excellent!!!

人に買われたその人形は、人の言葉を解し、話し、痛みを感じる生きた人形。
その人形を買うときに、一枚の契約書に署名する。

後に人形師は探し求める。自らが売った人形たちの行く末を見るために。
そして見る。数多の契約違反に晒されながらも、買い主に逆らうことなく従い続けるその姿を。

初めは人形を救いたかっただけだった。だが、その感情が行動が悲劇を生んだ。

罪を背負った人形師は、同じ過ちを繰り返すまいと壊れかけた人形の元へ――

人形に罪は無い。悪しき思いを抱きしは人間。

自分もその一人だと戒めながら、人形師は美しき人形と共に旅をする。
善も悪もなく、ただ純粋に買い主の命に従う人形たちの生き様を胸に刻むため。

これは、そんな物語。

詩のように綺麗な言葉で綴られた残酷で美しい物語。是非ご一読を。

★★★ Excellent!!!

ある意味では一途ともとれる、人形達の主人への忠誠。
それを利用する人間の傲慢さ。
それらを明確に指し示す作品であると同時に、人の存在意義とは何かを問いかけてくる。

人間は誰しもが代用の効くものでは無いのか、自分は何の為に生きるのかを考えさせられる。

ただ、この作品を読んで僕が思ったのは、『少なくとも自分自身だけは、自分にとって代用が効かないものだ』ということだけです。
なら、その考えを起点に、他人が自分にとって、また、自分が他人にとってどういう存在なのか、分かるかもしれない。

★★★ Excellent!!!

1章まで読ませていただきましたが、とても面白かったので途中でレビューさせていただきます。

人形。誰もが一度は目にし、手に取り、遊ぶものではないでしょうか。そしてその人形に命があったら──。動き、話し、笑い、泣き。誰もが一度は思う夢ではないでしょうか。
この世界では、ある人形師の兄妹によって「生きた」人形が三百を超える数作られました。しかし、悲しいかなすべてが善良な人間に渡ったわけでは成りません。残酷に、凄惨に人形を扱う人々は、おそらく生きた人形を「モノ」としか見ていないのでしょう。
もちろん、その人形を愛し、愛で、慈しむ人もいます。しかし人形に死はなく、人間には寿命という稼働限界があります。主人の稼働限界を、人形はどう迎えるのか。この作品にもその光景が精緻に描かれています。

言葉選び、単語の印象、文章の作り方。すべて「自分の目指すもの」と一致していて、一気に1章を読んでしまいました。また、「モノに命を宿す」という設定が好きなので、自分の琴線にも触れる作品です。
三次選考まで行かれたのならば、その内容は折り紙付きでしょう。主人公の目的、そして行く先も読ませていただきますね。

★★★ Excellent!!!

暗く、重く、悲しいお話です。グロテスクな描写が多くあるにも拘わらず、高潔で無垢な世界が構築されています。

主に尽くす人形たちは、痛々しいくらい純真で愛おしい。
暗澹とした物語だからこそ、美しいもの、温かいものが際立って見えるような気がします。

よい物を読ませていただきました。