『物語のない世界は世界ではない』

セリフと地の文のかけ合いが巧みなメタ異世界小説です。

〈『世界とは物語』で『物語のない世界は世界ではない』〉という設定が十全に活かされ、とにかく勢いで読ませます。1万2千字が一瞬に感じられる読みやすさと軽快さはさすがです。

そして異世界系Web小説を戯画化したようなストーリーでありながら、読み進めるうちに気づけばきちんと勇者を応援し、天使には諦めるなとエールを送りたくなっているという作劇の妙――。

数多ある異世界ものにおいて、小説やゲーム世界に主人公が転生/召喚する作品はもはやジャンル化して久しい感がありますが、本作品のようにその物語世界の「つくり手」「書き手」さらには「読者」をも意識したものはまだ稀少なのではないでしょうか。

おススメです!

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