息苦しくなる理由は、『愛』のためか。『憎しみ』のためか。

魔女と呼ばれ忌諱される姉エレクトラ。学校では毎日いじめられている、その弟のアルベール。

物語はこの二人を中心に進んでいきます。
この姉弟の家庭は決して幸福なものではなく、生育環境は平穏から程遠いものです。

そんな二人は。
裏庭の記憶を心のよりどころとして生活していました。ひっそりと、慎み深く、目立たぬように。

しかし。
この二人は徐々に、歯車を狂わせていくのです。

心理学者のアルフレッド・アドラーは、『人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定している』と言っていました。
私にはこの二人が、未来を夢見ているように思っていました。その思い描いた未来に向かってはばたくのだと。

しかし。
ベクトルは、逆を向いていたのかもしれません。
この二人が執着し、常に見つめていたのは、未来ではなく……。

最終話のこの姉弟の父親が彼らの為に作った童話が効果的に使用されています。
是非、この姉弟のお話をご一読ください。

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