栄光と挫折、敗北と別離、逃避の果てに奮い立つ魂は再び大空へ戻るのか?

 竜や竜騎士という強力無比な存在は、決して目新しいものでは無いが、多くの読者を惹き付けて止まない魅力を持つと言える。

 本作でも、竜騎士と悪竜や竜たちの空中戦は圧巻の迫力で描かれている。正に王道ファンタジーの表の部分、陽の部分と言えるものだ。

 だが、本作においては、どちらかと言うと「パッとしない」主人公を題材としながら、舞台装置といえる背景世界観を通じて、別の主題を描き出そうとする作者の意図を感じずにはいられない。

 いささか、私の考え過ぎかもしれないが、未だ物語は終わっておらず、従て今後の展開も、読み手の想像も無限に広がっている状態だ。

 若干のヤキモキは連載中の物語を追っている者の特権である。未だ本作をお読みで無い方は、是非、その感覚を味わっていただきたい。

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