第5ゲーム こんな希望世界なんです。
・ ・ ・ ・ ・はい?
言葉を失うどころじゃない。いや、そもそもはあの作者が仕組んだんだろうけどねぇ…
美羽「何でもう一人の主人公がこのゲームに入ってるのかね……」
作者「それについては俺から話す。」
深水「…!作者様…!」
突然入ってきた作者にちょっと掴みかかりそうになった。
美羽「これはどういうこと?何でもうひとつの物語の主人公がここにいるの!?」
作者「だから今から話すって言ってるだろ。俺はこの物語をぶっ壊れにしたいんだ。だから希望世界とのタイアップをした。まぁ、話すことはこれだけだ。早速プレイしてみるといい。」
美羽「誰がやるのよ!!向こう側にも迷惑でしょ!?」
作者「ポチっとな。」
カチッ。
ゲーム『桐山模音でプレイします。』
美羽「あぁーーーー!!??勝手に押したぁーーーー!!??」
作者「言っておくが、向こう側にもちゃんと許可は取ってある。そんじゃ、俺は帰る。」
美羽「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
とはいえプレイしたものはしょうがない。多分、一度入ったら戻れない仕組みになってることは分かってる。なら…ここは逆にゲーマーとしての意地ってのをあの作者に見せてやろうじゃないの!!
深水「これは面白くなりそうですね…」
模音『あなたはもしかしてこのクラスの転校生?へぇ~DA〇GOくんっていうんだ!これからよろしくね!」
序盤は変な選択肢も無く順調に事が進んでいっている。もしかしてこれって良心ルート?いやそんなことはない…あの作者ならもっと仕組んでるはず……
模音『今日の放課後、時間ある?あるならカフェにでも行かない?この前美味しい店教えてもらったからさ!』
1、時間はある
2、用事があるからまた今度で
手っ取り早く終わらすには1を選んでここままくっつけさせるのがいい。だが、くれぐれも慎重に選ばないと…
模音『時間あるんだ!じゃあ、早速いこ!』
深水「……このルート、何か嫌な予感がします。」
美羽「なによ、手っ取り早く終わらすには1が良かったでしょ?」
でも深水が言うからには何かがある。ただ、嫌な予感というものが何かはまだ見えていない。
模音『ここのカフェはスイーツもコーヒーも美味しくてね、この前友達と一緒に飲んだんだー!』
主人公『彼女はまるで会ったばかりの俺を引き入れてくれるかのように話してくれる。やっぱりそこは年相応なところがあるんだなぁ。』
美羽「やっと主人公の思っていること書かれたわね……」
深水「ゲームの再現というのが難しかったのでしょう。」
模音『楽しかった!また今度一緒にどこか行こうね!』
主人公『模音は俺の手をとって握手した。彼女の手は優しく、そして暖かった。俺は模音に一目惚れしてしまったかもしれない…』
会ったばかりで早々に惚れるとかこの主人公女に弱いのね。
主人公『翌日、俺は模音と一緒に帰る中でこの想いをどうにか伝えたいと思った。彼女の笑顔を見る度に口から溢れそうで怖い。』
模音『どうしたの?そんな顔しちゃって…』
1、俺と付き合ってくれ
2、何でもないよ
3、俺と付き合ってくれ
美羽「これはもちろん付き合ってくれでしょ!」
深水「待って下さい。この選択肢はあるエピソードに引き込むための罠かもしれません…!」
美羽「あるエピソード?関係無いでしょ。そもそも今は私がプレイしてるんだから、私が選ぶのも勝手でしょ。」
私は迷わず付き合ってくれという選択肢を選んだ。
主人公『模音…お、俺と付き合ってくれ!』
模音『えっ?えーーーー!?』
主人公『実は…昨日からお前に一目惚れしてて…急いでこの想いを伝えたくて…』
さて…どうなる?ここでオッケーしてくれれば事が優位に進む…
模音『いいよ…その…実は私も…一目惚れしてたのかも…』
美羽「うっし!これでもう後は簡単ね!!」
やっぱ恋愛攻略ゲームだけあって可愛いくされてるのは何気に凄いかも。だが…物語は深水の言った通り、思わぬ方向に発展していく…
主人公『なんだ!?あの怪物は!?』
模音『DA〇GOくんは下がって!ここは私がやるから!!』
深水「やはり…私の勘の通り…」
美羽「あんたが言ってた嫌な予感って、このことだったの?」
画面に移る黒い怪物はフィクションであれ、こちら側の恐怖心を駆り立てるものにも見えた。
模音『オープンガントレット・バトルスタート!!』
謎の掛け声と共にロボットが出現する。……ん?ちょっと待って、これもはや別ゲームだよね?
ー数時間後ー
模音『そんな…ねぇ目を開けてよ!嫌だ…そんなの…』
主人公『俺の意識はあの怪物にやられた衝撃で遠ざかっていた。もう彼女の目を見ることもなく…』
美羽「嘘…でしょ…?何でここで死ぬのよ!何考えてるのあの作者は!!」
作者「おい、誰が死んだって言った?」
美羽「あんたねぇ!!人としてどうなのよ!!たかがゲームでもこのルートは流石にない!!」
私はもうゲームどころではなく作者の人としてのレベルの低さに怒りを露にしていた。
作者「だから誰が死んだって言ったっんだ?勝手に断定しないでくれ。俺は主人公を殺すルートなんて書いてない。ゲームを進めてみろ。」
主人公『病室で目を開けると横に模音はいた。幸い、俺は特別重傷では無かったようだ。』
模音『起きた?あのあとDA〇GOくんは病院へ送られたんだよ…でも死ななくて良かった…』
主人公『模音が…俺をあの怪物から守ってくれたのか?』
模音『うん…私はあの怪物から人々を守るように言われてるから…』
作者「言っただろ?主人公は死んでいないって。」
美羽「このままだったら私の鉄拳があんたの顔にぶち当たるとこだったわ…」
模音『これからは、私がDA〇GOくんを守る。だから…私の側から離れないで!!』
主人公『うん…絶対に俺も離れないから…!」
END
深水「随分と綺麗な終わり方で…」
作者「ま、こんなこともあろうかと本人連れてきたけどな。」
美羽「へっ?」
作者は一人の少女を連れてきた。少女は紛れもなく桐山模音本人だった。
模音「私がゲームに出るのはちょっと恥ずかしいけど…でも面白そうだしね!ありがとう!作者さん!」
私と深水はポカーンとするばかりだった。そりゃそうだ…たったさっきまでやってたゲームのキャラが目の前にいるのだから。
作者「お礼はいいって。さぁ、二人の主人公のご対面だ。」
模音「私が桐山模音ってことは知ってるよね。あなたの名前は?」
美羽「影月美羽…です……」
模音「美羽ちゃんかー!またいつか会えたらよろしくね!それじゃあ、私は任務があるから!」
そう言うと、模音はその場から消えた。
作者「そんじゃあ、俺も仕事に戻りますか…」
美羽「あのさ…」
作者「ん?」
美羽「意外とゲーム面白かったわよ…」
しまった。つい口走った…
作者「そりゃどうも。」
作者もその場から消えた。このゲームから桐山模音のキャラは完全にいなくなった。何だか夢を見ている気分……
美羽「という夢を見たのよー!!!」
深水「いつまでにも増して長い夢ですね。」
See you next geme?
次回予告
年に一度のゲーム大会に向けて準備開始!
美羽「今年もやって参りましたぁ!!」
深水から特撮を学ぶ…?
美羽「これ大会に関係なくない?」
次回 こんな学びなんです。
ゲーマー執事になんかっ!! Next @Trex
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