第5話 スワンプマン

「すわん・・・・え?」


この反応、この反応を待っていたのだ。


「神様でもわかんないか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

簡単に説明するとな、沼の近くで落雷に打たれて死んだ男がいたとする。同時にその雷が沼の水と化学反応を起こして死んだ男と分子単位で同じ物質ができたとする。男は死んだのか否か、という思考実験な。」


 爺はしばらく考えた後、


「お主まさか自分の体に雷が落ちて自分が生き返るとでも思っているのか?」


「必ずそうなるとはハッタリでも言えないけど、十分あり得るんじゃねーかな。生き返る要因として他のファクターも関係するだろうし、可能性を捨てきれない以上、死人と完全に確定してない以上、転生はできねーと思うんだが」


「それでもお主は一度は死んだのじゃよ、そもそもそんな奇跡どうやって起こすんじゃ?この空間から現世への干渉は一切できんようになっとる。」


「干渉ができない?笑わせないで欲しいな。神さん、あんたさっき思いっきり事故現場を見せてくれたじゃないか。」


「それがどうしたのかね」


「不確定性定理というものがある。粒子の運動量と位置を同時に正確に知ることは原理的に不可能という法則だ。つまり神さんがスクリーンを出した瞬間、現実世界のいくつかの電子の動きが変わり、それが死亡現場の小さな素粒子の運動に影響したかもしれない。神さんのやったことは落雷の命中位置、ひいては運命を変えるには十分な干渉になりうる。」


 なかなか杜撰ずさん極まりない理論ではあるものの、爺の方はなかなか困っているようだった。突然手元の古文書を開いてページ探し始めるもんだから面白くて仕方がない。


 俺は容赦なく追撃する。

 

「そもそも、何故死んでいるはずの俺がこうやって神さんと話ができるんだ?」





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